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第369号~やっぱり知的障害は蚊帳の外?そして、想い出づくりしてみませんか。~
2018 / 12 / 24 ( Mon )
                  
 数か月前のこのコーナーで、中央省庁の障害者雇用水増し問題に触れましたが、政府は、水増しにより不足している大幅な障害者を確保するため、障害者限定の国家公務員採用試験(統一選考試験)を行うそうです。
内容については、高卒程度の知識が必要な筆記試験と作文、そして面接が行われるとのことですが、知的障害者にとっては困難を極め(どう考えても無理ですよね)、排除されていると言わざるを得ません。
 国では法定雇用率(2.5%)達成に向け、2019年度中に約4000人の障害者を採用する計画だそうですが、早急に手っ取り早く、ただ数の帳尻合わせを行うのではなく(これでは水増しの時と同じで、全く意味がありません。)、たとえ年月を要しても、障害特性に見合った仕事を創出し、幅広い障害者の雇用が叶う環境整備を強く望みます。
 この件に関しては、全国手をつなぐ育成会連合会の田中統括が、人事院の障害者雇用対策課等で意見を述べたりし、改善に向けて奔走されております。


 次の話題です。平成28年4月1日に「障害者差別解消法」がスタートしました。
神戸市では、「障害を理由とする差別に関する相談窓口」を即座に設置され、また、努力義務である「障害者差別解消支援地域協議会」(以下:地域協議会)も設置して下さり、私も委員の一員として参加させていただいております。
 この地域協議会とは、地域の中の様々な分野の関係機関が集まり、「顔の見えるネットワーク」を構築し、障害を理由とする差別に関する相談事例の共有や、情報交換を主に行うものですが、先日、第2回目の会議を行うにあたり、各所属において対応を行った相談事例について報告することになりました。
 ところが当会では会員・外を問わず、親なき後や成年後見制度をはじめ、多くの相談は寄せられるものの、「差別」に関しての相談を受けたことは、一切ありませんでした。

 相談は寄せられないものの、今までに差別を受けた経験が無いということは絶対にあり得ないので、役員さんや、支部長さんにお聞きしたところ、「障害を理由とする差別」を受けたという事例が、やはり幾つか返ってきました。
 
内容は、医療機関における診察拒否や、一般の生命保険への加入拒否、またスポーツジムでの
入会拒否もありました。これらは明らかに、全て「障害を理由とする差別」に相当する事例ではありますが、市が設置する相談窓口にも、そして当会にも、全く相談はありませんでした。この様に、全国的に見ても、知的障害者の相談事例はほとんど見かけたことはありません。
まれに相談事例として記載されているのは、保護者からの困り事的な相談がほとんどで、「障害を理由とする差別」にはほど遠い内容のものとなっております。
反対に、相談事例の大半を占めているのは、たとえ差別的な扱いを受けても、環境を改善すれば対応が可能となり得る「肢体・視覚・聴覚」等の身体的な障害をお持ちの方々です。では、知的障害者、つまり、本人の代弁者である私たち保護者は、なぜ障害ゆえの差別を受けながらも、相談窓口に訴えるという行動を起こさないのでしょうか?
それは、例えば、一般の生命保険に加入したくとも、保険会社に「無理です」と言われてしまえば、為す術もないし、また病院に行って、知的障害であると言った途端に「よそへ行って下さい」と言われてしまえば、そうせざるを得ません。更にはジムの従業員に、「知的障害者がいると他の人が嫌がるから、迷惑をかけるから」と言われなき理由で入会を断られたとしても、従わざるを得ないという結果になってしまうからだと思います。

振り返ると、私たちは障害のある我が子を授かって以来、色々な場面で数知れず、こういった辛くて悔しい経験をしてきました。泣き寝入りではありませんが、悲しいかな、長年の習性なのでしょうか、「差別をされました」と、訴え出るという行動には慣れていませんし、仮に、窓口に相談しても、どうにもならないということがよくわかっているので、敢えて行動を起こさない、そんな人が大半ではないでしょうか。

 しかし、このままでは、知的障害者にとって「障害者差別解消法」は、実効性のない、単なる「絵に描いた餅」の法律で終わってしまいます。
私たちが、今、しなければならないこと、それは、「差別です」と声を出し窓口に訴えることです。改善されることは無理かもしれませんが、声を出さない限り、相手には何も伝わらないし、何も変わりません。声を出すことによって、地域協議会で相談事例としてあげられ、対応策を検討し、改善の方向が、少しでも見い出せたなら、それは好事例として拡がり、そして、そういった積み重ねが、私たちにとって、活きた「差別解消法」となるのです。
加えてそれ以上に重要なのが、周りの方々に障害を正しく理解していただくことであり、自治体での更なる啓発活動の強化が求められます。
 平成31年には、法の見直しが行われるそうですが、全ての障害者の差別を許さない、そんな法律となるよう、その動向に注視し、訴えてまいりたいと思います。
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第368号~「看取り」と「お墓」・・・本人なき後を考えてしまいました。~ 
2018 / 12 / 07 ( Fri )
 穏やかな好天に恵まれた11月8日(木)、育成会会館に於いて多くのお客様とご来賓の皆様にお越しいただき、第50回合同福祉バザーを開催しました。
このバザーは、兵庫公会堂、総合福祉センター、育成会会館と、場所は変われど、実に50年もの長きにわたって続けてきました。これも、バザーを楽しみにお越し下さる地域の皆様方、そして、ご協力下さる会員の皆様のお蔭と、心より感謝しております。
しかし、会員の高齢化等の影響から参加団体も年々減少の傾向にありますが、バザー開始1時間以上前から行列を作ってお越し下さる地域の皆様との、大きな懸け橋となっている事は言うに及びません。

会員の皆様方におかれましては、どうかご協力のほどお願い申し上げます。
さて、バザー前のあわただしい11月5日(月)~6日(火)、札幌市・福岡市・神戸市の育成会が、それぞれの意志のもと、任意で行っている「三都市会議」が開催され、今年度の当番である札幌市の育成会に行ってきました。
以前、全国の育成会では、「大都市会議」が毎年行われ、大都市ならではの課題等を話し合う機会が設けられていましたが、時は流れ、いつの頃からか市町が合併して政令市の仲間入りをした人口100万人にも満たない、多くの政令市が加わり、「政令指定都市会議」と名称を変え、実施するようになりました。しかし大都市と、それらの政令市とは、人口・規模はもちろんですが、抱えている課題も異なり、結局、会議は終了することになりました。

 しかし、他の大都市の状況を知ることが出来る貴重な機会であるだけに、私と札幌市の会長は猛反対しました。そして、同じ意見を持っておられた福岡市の理事長(福岡市は社会福祉法人のため)にも声を掛け、3年前から三都市が自主的に運営する「三都市会議」がスタートしたのです。

 第1回目(神戸市開催)から、やはり、一番大きな協議事項は、「親なきあと」で、様々な取り組みの情報交換や意見交換が行われ、毎回、多くの収穫を得ている事は言うまでもありません。今年度の会議で、一番印象深かったのが、「看取り」と「お墓」の問題です。簡単ではありますが、報告させていただきます。

 まず、福岡市の育成会です。「えみのき」に先立ち、一昨年、高齢化対応のグループホーム「早良ひまわりハウス1・2」を開設され、昨年、見学させていただきましたが、今年度は、障害者支援施設(入所施設)「福岡ひまわりの里」での「看取り対応に係
る課題」についての報告がありました。
「福岡ひまわりの里」は、平成5年開設、50名定員で、平均年齢は53.8歳、最高齢は87歳だそうです。
利用者の高齢化に伴い、食事の提供方法の見直し(一口大・きざみ食等)や、歩行不安による通院時の付添い人数の増、夜間のトイレ回数・徘徊、認知症の問題、体調悪化のリスク(風邪から肺炎になりやすい)等、見守り・介助・看護の必要な利用者が増え、職員や看護師の人員体制の見直しや、「支援から介護」に転換するための職員のスキルの問題等、多くの課題が浮上しているそうです。
そんな中、4年前から利用者が亡くなるケースが出始め2名を看取り、現在は末期がんの利用者を、施設と病院で終末期ケア対応をしているそうです。
看取りを行うには定義や指針、マニュアル等の策定と共に、職員の専門知識の研修や心のケアーも重要になり、現在は看取る人数が少ないので何とかやれているが、今後増えてくると出来るかどうかは疑問である・・とのことでした。

介護保険と違い、障害福祉では「看取り加算」がなく、制度的な大きな壁もありますが、一般の方よりも10年以上も高齢化が早いといわれている知的障害者の終末医療の在り方については、国レベルでの改善を強く望みます。
続いて、札幌市の育成会です。一般社団法人でありながら、運動体と事業体の二足のわらじを履き、関連団体として、二つの社会福祉法人を持つという札幌市育成会は、当会と共通する組織形態となっております。

高齢・親なきあとの対策としては、関連法人が「えみのき」の様な「北19条ほっ・と・あんしんセンター」という拠点事業(生活介護、相談、短期入所、重度高齢化対応グループホーム)を行い、見学させていただきました。
その他、様々な取り組みの中で、私が、一番興味を持ったのは、会員等の慰霊及び埋葬等の支援事業としての「育成会共同墓」の建立です。
すでに、札幌市内の霊園内(宗教を問わず)に用地を取得、そして、現段階では、(案)ではありますが、希望者が利用できる合葬墓を建立し埋葬の支援を行って、毎年1回慰霊法要を開催するとのことです。
希望者は、永代供養のための費用として、1人10万円必要(父、母、本人の場合30万円)で、現在、270体(300体を予定)の希望があるそうです。

 この事業に関しては、札幌市の育成会の中でも様々な意見が飛び交ったそうですが、親なきあとの制度やサービスでは補完出来ない内容であるだけに、非常にニーズが高いのではないかと思います。そして、こういった事業は、障害の家族だけでなく、一般の方でも興味を示されるのではないかと思います。

新しい「お墓」の形態として、今後、こういう取組みが地域の中で浸透すれば、親なきあとの不安の解消にもつながるのではないかと思います。いずれにしても、この事業の進捗状況については、注視したいと思います。
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第367号~「高齢」についての情報が満載です。Let‘s go全国大会~
2018 / 12 / 07 ( Fri )

              
 数か月前のこのコーナーで、運動や栄養面はもちろん、日頃から人一倍健康には留意している私が骨粗しょう症の検査で骨密度が「危険域」に達したことを話しましたが努力の甲斐あって、この度、めでたく「正常値」になりました。
骨密度については、現状維持が精一杯で、数値を上げることは非常に難しいと聞いたことがありますが、この半年間、カルシウムを多く含んだ食品の摂取と共に、ひたすら骨に負荷を与える運動に取り組み、見事目的を達成することができました(バンザ~イ)。今後も油断せず、定期的に検査を受け、少しでも数値があがるよう頑張りたいと思います。以前にも言いましたが、痩せ体型の方は体重が軽い分、骨に負荷がかからないため、太っている人に比べて、骨粗しょう症になるリスクが高まります。思い当たる方は是非一度受診をし、早めに改善に取り組んで下さい。(骨折→寝たきりにならないために)


 さて、「全国手をつなぐ育成会連合会」の会員が、年に一度、総結集する全国大会は、今年度、13ページに掲載の通り、平成31年2月23日(土)~24日(日)、国立京都国際会館にて行われます。例年でしたら気候の良い秋口に実施されるのですが、世界的な観光都市「京都」では、その時期の会場やホテルの確保は困難なため、底冷えのする寒い時期の開催となってしまいました。しかし同じ近畿の、近場の京都ですので、沢山の方に出席していただきたいと思います。
今回の全国大会の特徴は、担当の京都が、全て取り仕切って行うのではなく、近畿の各府県市の育成会が協力し、分担して、それぞれの分科会を受け持つという、これまでになかった異例の方法で実施されます。

23日(土)に行われる分科会は、AからFまでの6コースがあり、我が神戸市はCコースの「高齢」を担当します。今、全国の育成会が抱えている深刻な課題であるだけに、全国大会では、毎年、一番参加者が多い分科会で責任重大ですが、「高齢になったらどうなるの?どんな準備がいるの?」をテーマに行います。
中身を少し説明いたしますと、まず午前中の基調講演では、上智大学の教授で、知的障害者の親の立場でもある大塚 晃氏に、「『知的障害者の高齢化対応検討委員会報告』をふりかえって」(仮題)と題してお話しいただきます。

介護保険制度が始まった平成12年、厚労省は知的障害者の高齢化への対応のあり方についての検討会を開催し、「知的障害者の高齢化対応検討委員会報告書」としてまとめられました。
大塚教授は、当時、厚労省の障害福祉専門官で、この報告書の作成に当たられました。当時を振り返りながら、現在の高齢知的障害者の支援についてや、また制度や政策、更には事業者の取り組み等についてもお話しいただきます。高齢についての多岐にわたる貴重なお話がお聞き出来ることと思います。

 そして午後からは、静岡市障害者歯科保健センター所長の服部 清氏に「高齢になったらどうなるの?医療関係者からの報告『知的障害者の老後のための健康(健口)づくりとその支援』(仮題)と題してお話しいただきます。
最近、よく「健康づくりはお口から」という言葉を耳にしますが、「全身の健康の源」とまで言われている口腔衛生については、最近、一般の方の間でも非常に関心が高まっているようです。

 しかし、知的障害者の場合は、充分なブラッシングが出来ていないことから、様々な口腔内の病気に罹患しているケースが考えられます。けれども検査や治療も、たやすく出来ないために、(全身麻酔で対応されている方もいるようですが)非常に大きなリスクを伴います。
高齢知的障害者にとって、医療とのアクセスは非常に重要です。今まで、あまり聞かれなかった分野であるだけに、是非お聞きいただきたいと思います。

「歯」についてのお話のあとは、トイレ休憩をはさんで、午前中の基調講演の講師であった
大塚氏がコーディネーターとなり、「どんな準備がいるの?」と題したシンポジウムを行います。
シンポジストとして登壇されるのは、前述の服部センター長と、福岡市手をつなぐ育成会の前理事長である向井公太氏、国立のぞみの園の事業企画部長の古川慎治氏、社会福祉法人ゆうかり理事長の水流源彦(つるもとひこ)氏と、この業界では名を馳せた、そうそうたるメンバーです。

向井氏が所属する「社会福祉法人 福岡市手をつなぐ育成会」は、多くの障害福祉サービス事業を展開されていますが、一昨年には、地域の反対を乗り越えて、高齢知的障害者向けのグループホーム(定員10+5)、併設して、ショートスティ、親子体験室、基幹相談支援センター、特定相談支援事業所を立ち上げられました。私たちの悲願であった「えみのき」に先立っての高齢化対応のグループホームについて、ご苦労談も含め、色々お聞かせいただけると思います。
のぞみの園の古川氏には、毎年、神戸にお越しいただき、過去には、知的障害の認知についてや、全国に先立ち「のぞみの園」で立ち上げられた重度高齢化対応のグループホームについて等、いつも斬新なお話をお聞かせいただいております。最前線でご活躍されている同氏だけに、今回も興味深いお話がお聞きできることと思います。

 そして、ゆうかりは、鹿児島市で、幅広い障害福祉サービス事業を実施している昨年50周年を迎えた老舗の法人で、平成29年10月、地域生活支援拠点を開設されました。
理事長の水流(つる)氏は三代目で、幼い頃から知的障害者と共に育ってきたため、障害者と共に暮らす社会は当たり前という認識の持ち主で、障害者総合支援法の付帯決議で、「小規模入所施設」が出てきた折りも、知的障害者にとって必要な資源であり、リスクを伴ってでも取り組むとの法人決議をされました。(国の動向を見据えながら、その後、拠点の中にグループホームを建設されております)
貴重なお話がてんこ盛りです。大勢の参加をお願いいたします。
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第366号 ~研修会、勉強になりました。そして・・開いた口がふさがりません。~
2018 / 09 / 22 ( Sat )

              
 先月号の冒頭でも豪雨や猛暑等、異常気象について触れましたが、今度は、僅か10日余りの間に二つの大きな台風が次々に近畿地方を直撃し、またしても、その洗礼を受けてしまいました。台風20号と「今世紀最強」と言われた台風21号です。
 特に21号は最大瞬間風速58.1mを記録し、神戸市では被害は少なかったものの、大阪をはじめとする各地で甚大な被害をもたらしました。
 そんな矢先、今度は、北海道で震度7の大規模地震が勃発、どうして今夏は、日常茶飯事の如く、次から次に災害に見舞われるのでしょうか。
どこで何が起こるか分からない昨今、「自身の身は自身で守る」と言われますが、しかし一番気がかりなのは障害のある我が子たちの安全です。「災害時の障害者の支援」ということが最近よく話題になり、神戸市でも今秋にスタートする「障害者支援センター」での取り組みの一環となっているようですが、これを機に、様々な観点からの「もしもに備えた対策」を具体的に推し進めていただきたいと強く切望します。取りあえずは、平穏な日々が続きますように・・・。

 さて、先月8月10日(金)、又村あおい氏をお迎えしての研修会「障がいのある人の暮らしとお金 ~いくら必要?どう託す?~」を実施しました。
親なきあとに向けての切実なるテーマであるせいか、当日は会員は勿論ですが、行政や支援学校をはじめ、福祉関係者、そして本人等、何と130名をも超える参加者がありました。当日の報告は本誌5ページに掲載しておりますが、幾つか心に残ったことを話させていただきます。

まずは、親なきあと(親が支援出来なくなったあと)、本人がグループホームで暮らしていく場合、幾ら必要で幾ら不足するのか、
皆さんは想像できますか? 
収入源が本人の年金とグループホームの家賃補助(1万円)のみの場合、不足分は概算で一か月約3万円となり、
年間では36万円、そして親なきあと、本人の余命を40年として計算すると約1500万円の不足となるのです。
金額を聞いて唖然としました。
本人の収入や親の年齢等でも金額は増減しますが、僅かな工賃と年金のみが収入源である本人たちの多くは、
これに該当するものと思われます。
「そんなに不足するんだったら、お金を残してあげないと」と、そんな想いから子供の名義で預金しておく、言
わば「名義預金」をされている方もおられるかと思いますが、これは、相続時にリスクを伴います。
つまり、親が亡くなった段階で、名義預金であるがゆえ、本人の財産ではなく「遺産」として見なされ、
税金を支払うことになるそうです。本人の年金や手当の預金については無論問題ないですが、くれぐれも気をつけて下さい。

 なお、当日、「西日本豪雨」に対しての募金箱を設置しましたところ多くの方にご賛同をいただき誠にありがとうございました。
7ページに記載の通り、全国手をつなぐ育成会連合会に送金いたしました。
各支部をはじめ、ご協力いただいた全ての皆様に感謝申し上げます。


 次の話題です。中央省庁や自治体で、長年にわたり障害者雇用の水増しを行っていた問題に対し、
全国手をつなぐ育成会連合会・久保会長が声明文を発表されました。本誌4ページに掲載しておりますので、どうかご覧下さい。
 この問題はメディアで大きく取り上げられ、皆さんもご存知かと思いますが、障害者雇用の「旗振り役」である中央省庁等で、
障害者手帳の有無を確認せず、健康診断の結果や本人の自己申告をもとに、本来対象とならない職員(中には、糖尿病の人も
いたそうです)を障害者として計上する、いわゆる「水増し」が行われていたのです。
 「障害者雇用促進法」では、障害者雇用率(法定雇用率と言います)が定められ、2018年9月現在、行政機関では全職員の2.5%以上、民間企業では2.2%以上の障害者を雇用することが法律で義務付けられております。

分かり易く数字に換算すると、民間企業においては45.5人に1人の障害者を雇用しなければならず、それが達成できない場合、「障害者雇用納付金」といって、1か月で1人あたり5万円を徴収され、場合によっては企業名も公表されるという厳しいペナルティーが課せられます。

 一方、これまで約6900人の障害者を雇用していると豪語していた中央省庁では、実際の雇用率は、1.19%に過ぎず、
半数以上の3460人が水増しされていたことが発表されました。不正は、国税庁、国交省、法務省をはじめ27省庁で行われ、
更には、衆参両院の事務局や全国の裁判所でも確認されました。
正に、行政・立法・司法という三権で水増しが行われていたのです。

 そして、それだけでは留まらず、地方自治体や教育委員会等、37府県でも水増しや不適切な計上が行われていたそうです。
政府が掲げる「一億総活躍社会」の中から障害者はいつのまに排除されてしまったのでしょうか?
「共生社会」とは単なる「絵に描いた餅」なのでしょうか。
「障害者権利条約」の批准に向けて、ここ数年間、障害者関連の様々な法律の改正・施行が行われ、
障害者の人権・尊厳・権利が高らかに謳われておりますが、今回の出来事は、その根幹をも揺るがす不祥事であると
言っても過言ではないと思います。
水増しの理由について、ガイドラインの不備や業務が複雑で残業が多い等、言い訳じみた言葉しか聞こえてきませんが、障害者の「働く場」を「可能性」を、そして、「生きがい」を、全て奪ってしまったという事実を重く受け止め、問題解決に向けて、抜本的な見直しを切に望みます。

最後に、明るい話題で締めくくりたいと思います。
 「第2回こうべ障がい者芸術フェスタ HUG+(ハグ・プラス)展2018」が9月21日(金)~24日(月・祝)、兵庫県立美術館で行われます。たくさんの障害のある方たちの力強い作品が展示されております。(会員子女の作品も多いです)この3連休を利用して是非お出かけ下さい。
詳細については、神戸市社会福祉協議会までお問い合わせ下さい。  
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第365号~あれから2年・・「変わっていない」ことと、「変わり始めた」こと~
2018 / 08 / 21 ( Tue )
  
  「かつて経験したことがない」と言われた「豪雨」の次は、「命に関わる」とまで言われた「猛暑」、そして観測史上、
類を見ない、東から西へと「逆進する台風」と、今年の7月は、「自然が織りなす猛威」では済まされない異常気象が続き、
「いったい地球はどうなっているのだろう」と恐怖すら覚えました。
全国手をつなぐ育成会連合会では、甚大な被害を各地にもたらした「西日本豪雨」の義援金を募集しております。
阪神大震災の折には、全国の育成会から、励ましの言葉と共に多くの義援金を頂戴しました。
事務局に募金箱を設置しておりますので、催し物等で育成会会館にお越しの際は、どうかご協力のほど、
よろしくお願いいたします。

 さて、日本中を震撼させ、私たちを恐怖のどん底に陥れた「津久井やまゆり園」の殺傷事件から、先月26日で、
2年が経過しました。
「障害者差別」や「優生思想」、更には、被告自身の「精神鑑定」の問題等、日本社会に深刻な問題を投げかけたこの事件は、
発生当初こそメディアが大きく取り上げていたものの、いつのまにか、節目の際に、セレモニーの如く報道されるのみとなり、
事件が忘れられ風化していく現状が懸念されておりました。
そんな中、7月21日、創(つくる)出版より、被告の手紙や手記が掲載された書籍が発行されました。
タイトルは、「開けられたパンドラの箱」です。
同社の編集長は、手紙や面会等で、約70回にわたって被告とのやり取りを重ね、
月刊誌「創」に被告の主張を掲載しておりました。私もその記事を何度か読んだことがあるのですが、
被害者への謝罪や犯行を後悔するような言葉は一切なく、
相変わらず障害者を差別した身勝手な持論を唱えているのみでした。
今回出版した書籍は、月刊誌に掲載された記事と共に、被告自身が、獄中で約半年かけて描いたという30ページにも及ぶ
漫画(人類社会に絶望して暴力的に破壊するという内容で、1コマ見ただけですが、
ドン引きするようなグロテスクな絵に見えました。)や、精神科医等、専門家の意見や、
また、被害者の家族の声も掲載されているそうです。
この1年間、被告は様々なメディアの取材に応じており、これから行われる裁判について聞かれると、「殺したことは認めるが、
彼らは人ではないので殺人ではない」と主張したり、また、知的障害者のことを、意思疎通ができないという意味で、
「心失者(しんしゅつしゃ)」と呼んでいるそうです。障害者に対する偏見・差別は更にエスカレートし、全くあきれるばかりです。

 出版に関しては、「被告の主張が正当化され拡散する恐れがある」と静岡県の大学教授(発達障害者の父親)や
地元育成会が、約2,000人の署名を集め出版中止を訴えましたが、差別的な主張の部分を減らして、出版に踏み切りました。
同社編集長は、「被告の意見を黙殺せず背景を解明する必要がある。本は、議論を深めてもらうための問題提議」と主張し、
それに対し「事件の検証につながる」と評価する声や、一方では「被告に焦点を当てるのはやや商業的」と
賛否両論に意見は分かれ、波紋を呼んでいるようです。

被告は、現在2度目の精神鑑定中(本稿執筆8月初旬)で、その後に行われる裁判は、裁判員裁判になる見込みですが、
死刑になる可能性が高いと言われております。
上述編集長は、被告を死刑という罪で罰しただけでは、問題解決や再発防止にはつながらないと主張しています。確かに、
事件の骨格になっている部分、つまり、障害者施設職員が何故、ああいう考えに変わっていったのか、
未だ、明らかになっておりません。
 しかし、書籍の出版は、編集長の思惑とは裏腹に、事件当時のように、被告の考えに同調する差別的な発言が
多数上がるのみで、また、あの頃のように、多くの知的障害者や家族、そして、
未だに名前を公表できずにいる遺族の方々に、更なる恐怖・苦しみを味あわせるだけで終わるのではないかと思います。
私は、被告が、逮捕後に送検される車の中で見せた、あの大胆不敵な「笑み」を今も忘れる事が出来ません。加えて、
拘置所の中から、接見を希望する複数のメディアに対して、インタビューに答えたり、
得意げに手記等を発信する被告の言動を見ていると、まるで自分が「特別な存在」「有名人」であるかの如く、
何か楽しんでいる様にさえ見えます。
2年経った今も、被告は何も変わっておりません。遺族の悲しみや恐怖も癒えることはありません。
 
 そして、障害者に対する差別・偏見も、あの頃と大きく変わっていないように思います。
しかし、そんな中、一筋の光も見えてきました。
事件発生の頃は、「やまゆり園」の利用者は重度障害ゆえに、暮らしの場は入所施設しかないと言われていましたが、
園舎取り壊しによる移転で、新しい生活の場を経験したことにより、グループホームや、ヘルパーサービスを使っての地域生活を始めた人もいるそうです。
むごたらしい、許し難い、悲しい事件ではありましたが、やまゆり園の利用者・家族・関係者は、前を向いて歩き始めました。
私たちも、「7・26」を決して忘れず、風化させず、そして、少しずつでも変わっていくであろう未来に向けて、
力を合わせて歩んで行かねばなりません。
私はこの事件のことを書く時、いつも「被告」という名称で、決して名前は記していません。
それは、差別や偏見から実名を公表できないでいる遺族の傍らで、今もなお、英雄気取りで差別的な発言を繰り返す
「被告」に対する私のちっぽけな「抵抗」です。

 13ページに本人の勉強会の案内を掲載しております。本人のこれまでの生活、経験、心情から、
本人の「隠れた想い」を引き出し、今後の支援のツールとして、また、サービス等利用計画作成の際にも
役立てていただければと思います。まずは、一度参加してみて下さい。
3ページから8ページまで、神戸市に対する要望書を掲載しております。
会員の皆様から寄せられた要望をまとめて、神戸市に提出いたしました。掲載されていない要望もあるかと思いますが、
いくつかは、口頭にてお願いしてまいりました。ご覧下さい。   
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