第290号 熱心なアプローチ
2011 / 12 / 31 ( Sat )
              (株)コミュニティネット ゆいま~る伊川谷

                                  ハウス長 古賀 眞由美


「おはようございます」と、挨拶をして、出勤するTさん。十二月に入り、今年も、例年通りの冷え込みとなった。振り返ると毛糸の帽子とジャンパーでまん丸としたTさんの出勤姿に何とも愛らしさを感じる。大きなリュックをおろし、ロッカールームで着替え準備完了。週五日出勤の彼女の業務が開始される。


 当社の社員であるさんは、ダウン症。勤務態度は、いたって真面目で素直。黙々と丁寧に清掃業務をこなす。Tさんのおかげでハウス内はいつでも清潔で気持ちがいい。

 当社は、高齢者住宅に関する相談業務、企画、販売、運営を担っている。神戸市に高齢者住宅 “ゆいま~る伊川谷 ”をオープンしたのは二年前。Tさんを紹介してくれた「神戸市手をつなぐ育成会」のSさんとご縁を持ったのも、ちょうどそのころだった。

 Sさんは「障がい者の雇用促進」のための「障がい者の働く場探し」に熱心に取り組まれていた。そのまっすぐな気持ちと、話し方に惹き込まれていくも、悩むことなく雇用とは即決できなかった。

 なぜならば、その時はすでに清掃業務委託先が決定されており、事業計画の中に、同一業務を行う人件費は算定されていない。ただ、なんとも言い難い感情は渦巻いていた。 実は当社の目指すところは、豊かで新しいコミュニティ社会の形成である。民間で初めて高齢者ディサービスを開設した我が上司も、「たとえ障がいがあっても一人一人が生きがいを持って自立し、足りないところは支え合って生きるための場を作ろう」と常々言っている。 “ゆいま~る ”=「助け合い」を意味する名前を持つ当ハウスの考え方の基盤である。

 これらの事から、障がい者の雇用促進をと言うSさんに共感するもここは「夢とそろばん」。この葛藤は、オープン当時は、「そろばん」に軍配を上げざるを得なかった。

 言いにくい思いを抑え、Sさんにお伝えしたが、「ならば、研修に入らせてほしい」と、方向性を変えて提示されてきた。お断りする理由もなく、研修指導担当のIさんと共に、清掃の研修が開始された。そうしているうちに、ある事情から清掃業務委託先を別業者へ変更することになったが、その時に間髪いれず、トライアル雇用の勧めがSさんからあり、Iさんの指導の下、清掃業務も覚えたTさんをトライアル期間終了後、正式に当社のスタッフとして迎え入れることになった。

 「障がい者雇用促進法」が施行、改正されているが、現状の雇用状況は、決して芳しくはない。受け入れる企業側にも事情はある。

 しかし、企業が意識を持たずしては、雇用促進に手を差し伸べられない。Sさんのような、神戸市手をつなぐ育成会の方々の粘り強く熱心なアプローチが企業と障がい者雇用の橋渡しをしてくれていることを有難く思う。 
 ぜひこの活動を継続し、一人でも多くの雇用が可能となる社会形成を願う。
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