第338号 障害者差別解消法 いよいよスタートです!
2016 / 04 / 24 ( Sun ) 一般社団法人 神戸市手をつなぐ育成会
会 長 後藤 久美子 国連の障害者権利条約に批准するため、いくつかの法整備がなされてまいりましたが、最後の法整備となった「障害者差別解消法」が成立し、差別の解消に関する基本方針や、それに基づく対応要領、ガイドラインの策定等の準備を終え、平成28年4月1日、いよいよスタートです。 この法律では、障害による生き辛さは、その人が持っている障害特性だけでなく、社会のしくみ(人々の偏見や環境等の社会的障壁・バリア)にも原因があるという基本理念のもと、「差別的取扱の禁止」と「合理的配慮の提供」という二つの概念を打ち出しております。 「合理的配慮」とは、あまり聞き慣れない言葉ですが、暮らしにくさをもたらす原因となる社会的障壁の除去を必要とする意思表明が、障害者からあった場合、個別の状況に応じて、変更や調整等の配慮を行う事ですが、実施に伴う負担が過重である場合は義務は生じません。また、除去が難しい正当な理由がある場合も、差別的取扱にはなりません。 しかし、どこまでが差別的取扱で、どこからが合理的配慮に欠けているのかの線引きは困難ですし、また、ちょっとした配慮や工夫もしてもらえず、どんな場合でも「正当な理由」で終わってしまえば、この法律が施行された意味がなくなってしまいます。 また、この法律では、問題を解決するための新たな紛争解決機関はつくらず、既存の行政等の相談機関が使われますが、相談を受けた窓口だけで全てに対応するのは困難なため、国や自治体の機関を中心に「障害者差別解消支援地域協議会」を組織して、障害者差別に関する相談や、紛争の防止や解決などを推進するためのネットワークを構築する事が重要です。 そして、神戸市でも準備を進めておりますが、千葉県をはじめとする各地域で施行されている障害に関する条例づくりも必要です。 「コンサート会場にブースを作ってもらう」「コミュニケーションボードの活用」等、こういった配慮を提供できるか、或いは重荷と捉えるか、それは、障害に対する社会の成熟度につながり、今後の大きな課題であると思われます。 法律はもう動き出しています。「差別」か「差別でない」かの二元論にこだわるマイナス思考でなく、身近なところにある合理的配慮をどんどん発進し、好事例として広めていく事が、この法律が活きた法律として機能し、同法の一番の目的である「共生社会」の実現につながっていくのではないかと思います。 スポンサーサイト
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