第347号 ~高齢者の定義が75歳以上に?でも知的障害者は・・・~
2017 / 02 / 22 ( Wed ) 今年の冬は寒暖の差が大きくて、体調を崩されている方が多いようですが、ここにきてインフルエンザが猛威を振っているそうです(2月初旬現在)。充分な睡眠や栄養と共に、手洗いうがいを行い、この冬を元気に乗り切りましょう。
さて、超高齢社会を迎えた我が国ですが、医師や大学教授等で組織する日本老年学会は、現在65歳以上とされている「高齢者」の定義を75歳以上に引き上げるべきだとする国への提言をまとめました。 医療の進歩や食生活の改善などで、健康的に生活できる期間が延びていることや、特に、前期高齢者においては、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めていることから、この高齢者の定義が現状にそぐわない状況となっているため、ワーキンググループが立ち上げられ見直しが行われました。 もともと「高齢者」の年齢については、法律上の定義はなく、昭和31年に国連が、欧米の平均寿命などをもとに65歳以上を「高齢」と表現したことを受けて、日本でも、65歳以上の人を「高齢者」と位置付けたそうです。 昭和30年代の「高齢者」と呼ばれていた方の映像を見ても、また、自分の祖父母を考えても、「高齢者」という表現に何の違和感もありませんが、しかし、現在はどうでしょう。 提言によりますと、見直しに向け、近年の高齢者の心身の健康に関する様々なデータを検討した結果、この20年ほどの間に老化のスピードが遅くなってきており、今、高齢者と呼ばれている人は、5歳から10歳程度若返っているそうです。このため、提言では65歳~74歳を准高齢者、75歳~84歳を高齢者、90歳以上を超高齢者と区分することが挙げられております。 そして、准高齢者においては、健康な間は仕事を続けたり、またボランティアなど社会参加を促すべきだとも記されております。 この様に、高齢者は20年前と比べると、5~10歳程度の「若返り現象」が見られるそうですが、一方で知的障害者は、最近の研究によると、一般の人と比べ10年高齢化が早いと言われております。 上記の考えで、単純に両者を比較してみると、例えば、65歳の一般人のAさんと、同じ年齢で知的障害のあるBさんがいます。Aさんは実年齢より10歳若い55歳の身体的機能を持ち、Bさんの場合は10歳加齢で、75歳の身体的機能ということになってしまいます。単純な数字の換算ではありますが、障害の有無により何と20年もの開きが発生します。もちろん個人差はあるでしょうが、しかし、昨今の会員子女の現状を考えると、残念ですが、この年齢の開きが、あながち間違っているとは言い切れないようにも感じます。 それを如実に表している二つのエピソードがあります。 いずれも会員さんから聞いた話ですが、高齢で腰が湾曲している会員さんのお嬢さんですが、もちろんまだまだお若いにも関わらず、お母さんと同じ様に、もう腰が曲がっているそうです。また、障害のある息子さんを連れて病院に行った会員さんは、「夫婦」に間違われたとか・・・。これは最近よく聞く、アンチエイジング「美魔女」と呼ばれている母親が、息子の恋人に間違われたという羨ましい話では決してなく、全く逆バージョンで、障害のある息子さんが年老いた母親の「ご主人」に間違われたのです。 知的障害者は、身体に異変があってもうまく伝えられないため、重症化するケースも考えられるので、身体内部の衰えや疾病は多々あるかとは思いますが、しかし、顔つきやしぐさ等、外見の衰えは何故起きるのでしょうか。同じ時代・社会に住んでいて、一方は若返り、そして一方は高齢化する・・・一体この差はどこから起因するのでしょうか。 知的障害者の高齢化については、まだ未知の部分も多く、ここ最近になってようやく厚労省も重い腰をあげ、国の知的障害者総合施設「のぞみの園」などにおいて、高齢知的障害者の調査研究が始まりました。 当会におきましても知的障害者の高齢化については、いち早く問題視し、平成26年11月に、上述の「のぞみの園」より講師をお招きし、「認知症になった知的障害者」についてお話いただきました。 また、昨年度には、「重度・高齢化」対応のグループホームについて、同じく「のぞみの園」で、長年、高齢知的障害者の支援にあたっている同園の地域支援部地域支援課長の古川慎治氏にご講演いただきました。 そして、今年度も、本誌11ページに記載の通り、「高齢期支援のあり方を考える」と題して、同じく古川氏にお越しいただきお話を伺います。 同研修会は、昨年度と同じく、神戸市知的障害者施設連盟と共催で二日間にわたって実施いたします。案内文に記載の通り、16日は施設従事者向けで、17日は会員向けとなっておりますが、職員・会員を問わず、ご都合のつく日の参加で結構ですし、両方出席されても構いません。 内容については、2日間とも基本は同じですが、職員向け・会員向けということで、若干違った部分もあるかと思います。大勢のご参加をお待ちしております。 もう一つ、しあわせの村に建設するグループホームについてお知らせです。 2月28日に予算総会が行われますが、議案説明後に、当事業の担当である古井専務理事より、現在の進捗状況について説明させていただきます。 こちらも多数の出席をお願いいたします。 スポンサーサイト
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