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第407号~「軽症」といっても普通の風邪のレベルではないそうです。そして、 法律・制度・サービスだけでは解決しないこともあると思います。~
2022 / 02 / 18 ( Fri )
 新型コロナの1日の新規感染者数が、昨日(2月3日)は、10万人を超え、過去最多となりました。
感染の主流は、若い世代から高齢者と子供に移ってきていて、多数の高齢者施設や病院でクラスターが発生し、また多くの学校でも学級閉鎖や休校が相次いでおります。
 オミクロン株については、当初より「重症化せず軽症か無症状」、しかし、「感染力はデルタ株より高い」とセットで言われておりましたが、いつのまにか前者の言葉だけが独り歩きしてしまい、アルファ株やデルタ株の時の様な緊迫感は人々の間から若干薄れてしまったように思います。そして、そういった風潮がまん延し、爆発的な感染拡大を招いたのではないかと言われています。
 実際、オミクロン患者の大半は軽症であることが多いそうですが、ただ軽症と言っても熱は40度近く出ることもあり、倦怠感や頭痛、咳の症状の度合いは風邪とは比べものにならず、中には、歩くのもやっとで、意識はもうろうとし、吐き気や痛みもあったという人もいるそうです。

 この度のオミクロン株は芸能界からも、多くの感染者が出ているようですが、「高熱と共に咳が止まらなかった」や、「喉が痛くて飲み食いできず、唾を飲み込むことさえ大変だった」と、感染の症状を赤裸々に語るタレントさんも出てきました。
 感染防止の対策としては、今までやってきた感染対策の徹底と共に3回目のワクチン接種と言われていますが、3回目のワクチン接種については、先月号のこのコーナーでもお知らせした通り、1月17日(月)から、高齢者施設に入所していない65歳以上の方へ、順次ワクチン接種券が送られるとの事でしたが、相当な数のため、該当の方々になかなか届かず、「いつ届くのか」という問い合わせが殺到したそうです。そこで、神戸市では、接種券がなくても2回目のワクチン接種から6か月以上過ぎた方は、ノエビアスタジアムの接種のみ(期間限定)予約が出来るという対策を取ったのですが、全国ネットのワイドショーで取り上げられていたせいでしょうか、初日で、接種枠は埋まってしまったそうです。
 ノエビアスタジアムの接種はモデルナで、副反応への不安から全国的に「モデルナは不人気」と言われておりますが、神戸市では、事情が違うようです。

 モデルナの3回目接種を受けている小池都知事や新型コロナ分科会の尾身会長の姿がニュースで流れていましたが、接種券がきたら、私もモデルナの会場で予約しようと思ってます。


 次です。大阪市で胸を締め付けられるような悲しい出来事がありました。
昨年4月、50歳代の兄弟二人が遺体で見つかりました。弟(当時56歳)には重度の知的障害があり、兄(当時57歳)が一人で介護をしていました。警察は、介護疲れから無理心中を図ったとして、兄を容疑者死亡のまま殺人容疑で書類送検しました。
この事件を知った時、当初、私は、この兄弟は世間から孤立し、障害福祉サービスを利用することもなく、行く先を案じた兄は死を選んだのでは・・・と思っていましたが、実際はそうではなく、兄からのSOSにより、弟に対する本格的な支援が始まる矢先に事件は起こったのです。

 遺書には、「弟の命を断ちました。これから弟の後を追います」と書かれ、同じ部屋に敷かれた布団の上に二人は並んで横たわり、兄は透明のポリ袋を頭からかぶり、そして、弟の顔にはタオルがかけられていました。死因は二人とも窒息死だったそうです。
 兄は「入浴介助サービスを利用したい」と、区の相談支援センターの職員に相談しました。
二日後には事業者も見つかり、職員は兄に電話をしたがつながらない、すでに二人は亡くなっていたのではないかと言われています。兄弟は、どんな人生を歩んでいたのでしょうか。

 弟は、重度の知的障害があり、家にこもりがちで昼夜逆転の生活をしていたそうです。父親が他界して間もなく、離れて暮らしていた兄は実家に戻り、母親を含めた3人での生活が始まりました。母親が死去してからは、兄は弟の介護で就労が困難になったため、生活保護を受給しながら弟の面倒を見ていました。近所の方は、二人が散歩する姿をよく見かけたそうです。
 母親は、生前「弟は他人を受け入れられない」と周囲に漏らしていて、長い間、サービスを利用していませんでした。そして、自分が亡くなる直前に兄に、「施設に入れないで」と言い残し、兄も「自分が面倒をみなければ」と、サービス等の支援を拒んでいたそうです。しかしその後、疲れ切った兄を見かねた生活保護担当職員の進めで、家の掃除や洗濯、買い物といった家事援助を受けるようになり、更に疲れ切った兄を見かねた弟の主治医が相談支援センターに連絡し、弟の入浴介助の話が進み出したそうです。しかし、そんな矢先に、兄は弟と共に命を絶ったのです。

 上記のように、兄の周りには全く支援者がいなかった訳ではありません。そして、遅ればせながら、サービスも少しづつ利用していました。それでも死を選んだのは何故なのでしょうか?
 兄は、知的障害の弟を支える、今でいう、最近よく聞く「ケアラー」です。
 「ヤングケアラー」については、国を挙げて問題意識を持ち、それぞれの自治体では様々な取り組みが為されています。しかし、この兄の様に、もう「ヤング」ではありませんが、知的障害者の「きょうだい」(敢えて平仮名で書くようです)にも、多くのケアラーがいると思います。障害のある本人への支援だけでなく、周りで支えている家族への支援も重要です。
 長年にわたるたった一人での介護に疲れ切った兄に必要だったもの、それは、サービスだけでなく、単純に話を聞いてくれる、信頼できる、寄り添ってくれる人だったのではないでしょうか。

 そんな時、思い出したのが、嵐の松本潤さん主演のドラマ「となりのチカラ」です。「主人公がおせっかいすぎて気持ち悪い」「まるで昭和のドラマみたい」と、評判はイマイチのようですが、同じマンションに住む様々な問題を抱える住人たちを心配し、チカラ君は関わっていきます。
ただ虐待に気づいても通報しない、認知症のお年寄りを介護サービスにも結びつけない、抜本的な解決には至っていませんが、けれども、虐待を受けている少女や、認知症の祖母、そして祖母を介護するヤングケアラーの高校生に、しっかり寄り添っています。チカラ君の様な人が周りにいたら、悲惨な最後を遂げた兄弟の人生も、もしかしたら変わっていたかもしれません。
お節介なチカラ君は、マンションの住民と少しづつ関係性を築き上げ、一つのコミュニティーを形成していくそうです。現実離れした部分も多々あるドラマですが、法律・制度・サービスだけでは解決しない、多くの人々が忘れかけている「つながり」、「優しさ」、「思いやり」の大切さを、原作者は訴えているのではないかと思います。そして、そういった社会になれば、我々の子供たちはもちろん、弱者と呼ばれている人々、そして、全ての人々の生きやすさにもつながっていくのではないでしょうか。今後の展開に期待したいと思います。    (会長 後藤久美子)
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