第416号~P&Gからのお知らせです。そして、久々に近畿大会に行ってきました。~
2022 / 11 / 20 ( Sun ) まず始めは、今までにはなかった、ちょっと珍しい興味が湧くお知らせです。
神戸市と包括連携協定(簡単に言うと、地域が抱えている課題に対して自治体と民間企業が協力し解決を目指す協定です)を結んでいるP&Gからのご案内です。11ページをご覧下さい。 P&Gと言えば、私がまず思いつくのは、“パンパース”で、息子が幼い頃、外出の際には随分お世話になりました。その他、シャンプーや洗剤等、日常生活の中で、いろいろ利用されている方も多いと思いますが、この度P&Gでは、障害のある方と、その家族の意見を製品開発に活かすため、モニター として登録して下さる方、並びに消費者テストに参加して下さる方を募集しておられます。「こんな商品があれば知的障害者も使いやすいのに」や、「この商品を○○すれば、もっと使いやすいのに」等の声をどんどん発信して下さい。 ちなみに、テレビでよく見かける俳優の生田斗真さんが出演のCMで、洗濯槽にポンと入れるだけのボールの様な洗濯洗剤がありますが、これは、洗濯の際、従来のように、洗剤や柔軟剤の分量を測らなくても洗濯ができるということで、知的障害者にも使いやすいといった声が寄せられたそうです。 知的障害者に使いやすい製品は、高齢者にも、外国人にも、誰にでも使いやすく、そして優しい製品となります。「登録するのが大変」という方もおられるかもしれませんが、一度チャレンジしてみてはいかがですか。なお、締め切りは12月5日です。 次です。去る10月23日(日)、奈良県社会福祉総合センターにおいて、第61回近畿知的障害者福祉大会(通称:近畿大会)が行われました。 コロナ前は、観光バスをチャーターし、会員さんや子女の皆さんと共に、毎年近畿大会に参加していましたが、コロナの感染拡大により、開催することが出来なくなりました。 しかし、オンラインを使った研修会や会議が育成会でも浸透し、昨年度より、会場参加とウエブ配信による「ハイブリッド型」と呼ばれる新たな形で近畿大会を実施できるようになりました。 当日、近畿ブロックの会長として参加しましたので、二つの事例を報告したいと思います。 今大会は、「知的・発達障がいのある人の地域医療の充実に向けて ~コロナ禍でのリスタート~」と題して、「医療」をテーマに行われました。 奈良県育成会は、前回の大会時(平成28年)も、「知的障害者の医療」を取り上げましたが、その後、会員に向けて、「知的障がいのある人の生活状況と医療について」のアンケート調査を実施、その中から見えてきた課題に対応するための取組について、今大会で発表されました。 まず最初は、大和郡山市独自の取り組みで、育成会関連の統括施設長からの発表です。 大和郡山市では、平成19年、障害当事者や福祉サービス事業所、民生委員など様々な立場の方が集まって自立支援協議会を立ち上げ、幾つかの部会を発足、積極的な活動が展開されました。 そして、その中から生まれた「医療ワーキングチーム」では、「知的障害者が入院の際、家族の付き添いが出来なくなった場合は、誰が支援をしてくれるの?」という親の不安を軽減するため、平成24年に、市と協議し、「入院中の一時的なヘルパーサポート体制」を構築しました。 また、同年に、緊急時ステイ事業も開始、今度は、親御さんに何かあった時は事前に登録している幾つかの事業所が本人を受け入れるという、緊急時にも対応できる体制を構築しました。 その他、通院時に参考となる医療機関マップ作製や、医師会・歯科医師会の方と一緒に「安心して医療を受けるために」というパンフレットも作成、多くの医療機関に配布されているそうです。 最後に、当事者も家族も、もう少し医療を身近なものにするための第一歩として、顔の見える関係である「かかりつけ医」を持つことが大変重要であると結ばれました。 続いては、家族の高齢化により、在宅での生活が困難となった知的障害のある40代男性が、医療的ケアを受けながらも日中活動の場に通い、地域での暮らしを可能にしたという事例です。 彼の病名は、「劇症Ⅰ型糖尿病」です。この疾患は、血糖コントロールが困難で、社会生活に大きな支障をきたすため、毎日のインスリン注射が必須となります。彼自身が、インスリン投与ができれば(知的障害の場合は非常に難しい)、親なき後も、住まいの場の選択肢はありますが、無理な場合、選択肢は極端に狭まります。 何故ならば、入所施設やGHの介護職員は医療行為ができません。そのため、24時間の看護師対応が必要となりますが、配置できている施設は殆どないのが現状です。 ただGHでは、医療保険での訪問看護を使うことが可能なのですが、残念ながら週3回が限度です。従って、彼の選択肢は、看護師が常駐している療養型施設か病院しかないのです。 しかし、ここでは、当然のことながら、日中活動の提供が出来ません。今はまだ、元気に活動できている彼にとっては、適切な住まいの場所とは言えません。 そういった厳しい現状の中ではありますが、本人が安心して、必要な医療ケアを受けながら、何とか今までのように、地域で生活できる場所はないのだろうか? 人口わずか6400人程度の小さな町、奈良県高取町の相談支援専門員さんの奮闘が始まります。 毎日訪問看護が利用できれば、地域で暮らすことは可能です。いろいろ掛け合ってみましたが、週3回の制度の壁は超えられません。地域の病院に相談すると、インスリンポンプ療法を進められました。しかし、本人の管理が難しい事や知識のある常駐看護師もいないため断念しました。 けれども諦めません。訪問看護や看護師、GHの職員が連携し、週3回、GHで生活をしながら医療体制を整えました。ところがその矢先、彼は交通事故に遭い7か月間入院生活を送りました。 入院中は血糖値が安定せず、落ち着かない状況であったため、退院後は週末の帰省をやめて、毎日GHで健康管理を行うことにしました。そして、彼は、40代ではありましたが、行政の裁量により、介護保険が利用できるようになり、ようやく週7回の訪問看護が実現したのです。 しかし皮肉にも、毎日、訪問看護を利用すると、彼は、日中、自由に外出が出来ません。結局、介護保険は利用せず、医療保険の訪問看護と、インスリンポンプの管理を行うことになりました。 彼は、医療ケアを受けながらグループホームで暮らし、昼間は、ドライブしたり、リサイクルの仕事をしたりして、利用者さんや、職員と共に、毎日にぎやかに過ごしているそうです。 この二つの事例は、「本人の願い」「親の願い」を実現するため、「無いものはつくろう」「困難ではあるが何とか打破できないか」という支援者さんたち、親御さんたちの厚い想いが周りを動かし、顔の見える多くの連携を生み出し、そして、実現に至った好事例だと思います。 我が子が、地域の中で、当たり前に安心して医療が受けれるようにするためには、まずは困りごとを発信することから始まります。そして、育成会で何ができるのか、何をやるべきなのか、今大会を通じて、一人一人が考えるきっかけになってくれることを願います(会長 後藤久美子) スポンサーサイト
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