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第417号~障害者権利条約の対日審査が、今後どう影響するのか考えてみませんか? ~
2022 / 12 / 19 ( Mon )
 まず始めに5ページに、育成会会員歴30年表彰状贈呈者名簿を記載しております。
コロナ前は、2~3年に1回の割合で、神戸市手をつなぐ育成会大会を実施し、その際に対象となる会員さんには表彰状を贈呈しておりましたが、コロナ禍により、長きにわたり行うことが出来ず、表彰の機会を逸していましたが、この度、平成元年11月から平成4年11月の間に入会された会員さん、66名の方に表彰状と共に心ばかりの品をご自宅に送付させていただきました。
 次回(2~3年先)は、以前のように、開催出来る事を願っています。


 次です。毎年、会員さんからの要望事項を募り、集約したものを神戸市に対し、要望書として提出いたしております(要望書は本誌9月号に掲載済み)が、去る12月2日、神戸市庁に於いて要望に対する回答会を行っていただきました。
コロナ禍のため、今年度も規模を縮小いたしましたが、福祉局からは、川畑課長、奥谷課長、山添課長、白木係長が対応してくださり、育成会からは古井専務と私が出席しました。
10~15ページに添付しておりますので、ご覧下さい。
回答について、ご質問のある方は、育成会事務局・後藤までお電話をお願いいたします。

 次です。近畿ブロックの育成会が持ち回りで行っている「リーダー養成研修会」の案内を6~7ページに掲載しております。
この研修会もコロナ禍のため2年連続で実施することが出来ませんでしたが、今年度は大阪市の育成会が主管となり、執り行われることになりました。
開催方法は、当日は規模を縮小しての対面による開催と共に、後日、期間限定による動画配信も行われます。当日参加、或いは、動画配信を希望される方は、2月10日(金)までに、育成会事務局までお電話をお願いいたします。

 次です。本日のメインとなります。本誌9月号に「障害者権利条約」の対日審査の中から、「特別支援教育の中止」について、私の想いも含め記載しましたが、今月号では、国連が示した「総括所見」の中から知的障害に関連するその他の項目について、少しお話ししたいと思います。
まずは、「移動支援」についてです。この事業は「地域生活支援事業」といって、市町村が地域の状況に併せて、地域の裁量により実施するサービスであるため、当然のことながら全国一律の内容ではなく、その地域によって運用の仕方が異なります。それを解消するための国連の指摘は、「市町村格差を解消する立法・予算措置を取ること」で、個別給付が求められています。
また、現在ある様々な制限(例えば「泊りに使えない」や「プールに同行出来ても入場はできない」等)を撤廃し、全ての地域での自由な移動を確保することが求められています。

次に、「障害者差別解消法」です。この法律は、障害者に対する「不当な差別的取り扱い」の禁止と「合理的配慮の提供」が求められています。この法律の対象は、国や自治体、団体等で、個人の差別的行為は規定されていませんが、国連の指摘では、「私人」も含んでいます。
また、現行では、差別的な取り扱いをしても、刑法上の「犯罪」には当たらないため、処罰はされませんが、「加害者に対する制裁」も明記されています。
そして、代理代行的な意思決定体制ゆえに問題視されている現在の「成年後見制度」を廃止し、それに代わるものとして、「支援付き意思決定メカニズム」の確立が謳われています。
現在、国では、同制度の検討会が行われており、民法の改正をも含めた抜本的な見直しが行われるものと思われます。これについては、また、進捗状況をお伝えしたいと思います。

次に、障害者虐待防止法の見直しで、あらゆる場面に拡大(例えば、現行では、病院や学校が含まれておりません)することと謳われております。
今までの項目は国連委員会からの「指摘」でしたが、次は、「強い要請」となります。それは、「脱施設化」で施設収容の廃止、要するに入所施設の廃止です。そして、それだけに留まらず、「グループホームの生活を義務付けないようにする」という文言も明記されています。
ただ、これについては、「義務付けないように」ということですので、入所施設のように「ダメ」ということではなく、本人が望むのなら問題なしという解釈かと思います。
教育についての詳細は、分離された教育を廃止するため、法律や政策、行政の通知等で、障害のある子どもがインクルーシブ教育を受ける権利を認識し、質の高いインクルーシブ教育に向けての計画を選び取ること、そして、障害児が普通学校へ通学する権利を保障し、それを拒まないことが明記されています。更には通常教育の教員の研修による資質向上も求められています。
そして医療については、医療従事者の研修には、障害の人権モデル(障害は社会全体の問題として捉えるという考え方)の責務を組み込むことや、医療費助成の拡大が明記されております。

仕事に関しては、一般労働市場への移行ができるように努力すること。また、障害年金の額に関する規定の見直しや、公職選挙法を改正し、障害者の政治的活動の推進を求めています。
以上が、障害者権利条約の対日審査総括所見における知的障害領域の概要となります。
以前にも述べましたように、これらについては法的拘束力はありませんが、日本政府には今後の法改正等で、総括所見に沿った対応が求められます。次回の法改正は令和6年度となりますが、それに向けて、障害者総合支援法の改正法案が11月18日、衆議院を通過しました。
その法案には30項目からなる付帯決議(法律を執行するにあたっての留意事項)が盛り込まれ、知的障害関連では、地域移行や移動支援の見直し等が組み込まれています。
いずれにしても、国連の総括所見は、我が国における今後の障害福祉に大きな影響力をもたらすことになり、特に、19条(入所施設の廃止)や24条(分離教育の廃止)については、顕著に現れると思われます。
入所施設については、「地域生活を妨げるもので廃止すべき」と強く訴える声も聞かれますが、しかし、行動障害や生活の立て直し等で真に必要な方も多く存在しますし、また24時間365日稼働する入所施設の機能や支援力をどう地域で活かしていくかの検証も重要であると思います。

次に教育です。「分離教育は分断した社会を生み出す。インクルーシブ教育は共に生きる社会をつくる礎となる」。権利委員会・副委員長のヨナス・ラスカス氏のコメントです。
 確かに一理あると思います。しかし他の障害と違い、知的障害の場合は「通り一遍」にはいかないと思います。分離された「本人に適した教育」と、本人への十分な配慮が為された「インクルーシブ教育」の両立こそが、知的障害者にとって真の「インクルーシブ教育」ではないかと思
います。「学校教育」については、多くの会員さんにとって、過去の出来事かもしれませんが、しかし、「障害児教育」の見直しは、「障害福祉」の根幹をも揺さぶり、今後の方向性にも影響が及びます。他人事ではなく我が事として真剣に考えて頂きたいと思います。(会長 後藤久美子)
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