第419号~民法が改正され、成年後見制度が大きく変わると思われます。 そして、パラ陸上世界大会、神戸で開催です。~
2023 / 02 / 20 ( Mon ) まず初めに、「神戸市からのお知らせ」を幾つか紹介いたします。
一つ目は、福祉駐車券を利用する際の車両登録の廃止についてです。6ページをご覧ください。 これにより、レンタカーや車検時の代車等でも、福祉駐車券をご利用いただけるようになります。また、従来は、車を乗り換える際には、新しい車での登録が必要でしたが不要になります。 次は、「重度心身障害者タクシー利用券助成」と「自動車燃料費助成」の更新手続きの変更についてです。この制度を利用されている方は、毎年、区役所窓口で更新手続きをしていたと思いますが、利用者の負担を軽減するため、令和5年度分の更新手続きについては郵送に変更され、2月中旬頃にはご自宅に届くそうです。併せて、令和6年度以降の自動更新についても、希望すれば更新手続きが不要になります。詳しくは、7ページをご覧ください。 最後は、日常生活用具(おむつ)の支給要件変更のお知らせです。 令和5年4月より、紙おむつの支給対象者が広がり、また基準額も変更となります。8ページをご覧ください。なお、紙おむつ取り扱い事業者等、お知りになりたい方は神戸市ホームページに掲載しております。その他、詳細については、神戸市コールセンター(℡ 0570-083330 又は078-333-3330、fax 078-333-3314)までお問合せください。 次は、今回のメインである「成年後見制度」についてです。 この制度は、知的障害者にとって、金銭管理や契約の代理、そして身上保護など、「親なき後」を含め、本人の権利擁護のためには必要不可欠な制度ではありますが、残念ながら、課題や問題も多いことから、利用は極めて低調なままです。 本制度に関して、全国手をつなぐ育成会連合会(以下:全育連)では、全国組織というスケールメリットを活かし、アンケート調査を実施、(当会においても十数名の会員さんにご協力いただきました。ありがとうございました。)、2021年度に、その報告がまとめられました。 それによりますと、制度の認知度は約80%と高い反面、実際の利用は10%程度、つまり、90%もの人が利用には至っていないという結果が示されました。 また、問題と感じる点については、①一度制度利用するとやめることが出来ず、後見人の変更もできない。②財産管理が主であり、肝心の身上保護が不十分である。③多くの知的障害者の収入源が障害基礎年金である中で、月2~3万円の報酬設定は大きな負担となる。④本人の意思を十分に尊重していない後見人等がいる。などでした。 久保会長は、国が設置している成年後見制度関連の様々な会議に、以前より委員として参画していましたが、上記の様な課題を常に訴え、如何に改善すれば本制度が利用しやすくなるのか、知的障害者の目線で積極的に発信してきました。 例えば、後見制度を必要な時だけ使う仕組みに改める、後見制度のお試し利用を制度化する、後見人等を交代しやすくするといった等の提案です。しかし、その多くは、民法の改正が必要なため、実現することは非常に困難であると思われていましたが、会議の中で、久保会長の発言を聞いた他の専門職の委員等からも、民法を改正してでも制度を改善すべきだという多くの意見が寄せられ、昨年6月に、民法の改正も含めた、制度の抜本的な見直しを検討するための研究会が立ち上げられました。もちろん、久保会長も委員として参画しています。議論される事項は多岐にわたるため、2年近くの期間が予定されているそうです。 真に使いやすい制度となるための様々な改善策が期待されますが、国が打ち出した方向性の中で注目すべき点は、①適切な後見人等の選任・交代の推進等 ②適切な報酬の算定に向けた検討及び報酬助成の推進等です。分かり易く言いますと、現在、成年後見人が決まると、原則、障害者本人が亡くなるまで後見人の業務は続きます。また、後見人に専門家が選任されると、毎月の報酬(本人の財産状況によりますが、相場で月に2万~5万)が発生します。そこで本人が亡くなるまで制度の利用が続くのを緩和しようということが示され、必要な時に制度を利用し、終わったら終了できる、いわゆる「スポット利用」ができるというものです。 具体的なケースで考えると、仮に、父親が亡くなり遺言状が無い場合には、遺産分割手続きのために知的障害者には後見人が必要となります。そして、遺産分割が終了して後見人が特に必要でない場合でも、そのまま利用を続け、当然のことながら、後見報酬も本人が死ぬまで払い続けねばならないのです。被後見人が若年層であればあるほど、支払期間は長くなります。 今回の方向性で示されたのは、遺産分割手続きが終了したら、後見人の業務も終了できるようにすることや、もう一つの課題である報酬については、報酬算定の整備と報酬助成の拡充が図られることが示されています。つまり、後見人への妥当な報酬のうち、本人が支払うことが出来ない、足らずの差額については、公的に埋めるようにしましょうということです。 仮に、この様な「スポット利用」が実現した場合、デメリットとしては、後見人がついていない期間が長くなることも考えられるため、その間の見守りや日常的な金銭管理も必要となります。また、例えば、高額な買い物の売買契約等、後見人をつけるほどではないものの、特定な部分だけ担う「代理人」の仕組みを構築することも大変重要となり、「成年保護特別代理人制度」の創設についても、制度の抜本的な改善と共にセットで議論が進められているそうです。 そして、国からは全育連に対し、後見人が、本人の意思に寄り添った支援を行っているか、見守り等の監視や、また、当事者団体として、本人に寄り添い、本人の意思を専門職に伝えていくという役割を担っていただきたいという要望があったそうです。 国が求めている要望を会として行っていくためには、我々に「成年後見制度」についての十分な知識が必要となり、久保会長は、各地で制度の勉強会をやっていきたいとも言われてました。 この様に、国が、制度の抜本的な改革に踏み込んでいくこととなった背景には、国連の障害者権利条約の日本への勧告(現行の成年後見制度は廃止すべき)はもちろんですが、久保会長が、会議の席上で、制度の改善について幾度も発信してきた結果が、人(会議の参加委員)を動かし、難しいと言われていた法律改正の議論にまでたどり着いた所以だと思います。当事者団体として、言い続けることは大変重要です。今後の進捗状況には強く関心を持っていただきたいと思います。 最後に、1994年ドイツベルリン大会を皮切りに、2年ごとに開催されている「世界パラ陸上競技選手権大会」が、再来年2024年に、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場にて行われます。世界各地より、多くの知的障害者も参加します。コロナで2度の延期を余儀なくされましたが、3度目の正直、今度こそは実現して欲しいと思います。これから神戸のあちこちで見かけることと思いますが、ポスターを10ページに掲載しています。ご覧ください。 (会長 後藤久美子) スポンサーサイト
|
| ホーム |
|