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第420号~役員改選です。自薦他薦は問いません。 そして、国連勧告による入所施設の廃止について考えたいと思います。~
2023 / 03 / 31 ( Fri )
 まず初めに、役員改選のお知らせです。令和5年5月に開催される決算総会において、当会の現在の役員の任期が満了となり次期役員候補者の選挙を実施いたします。会員の皆様におかれましては、立候補並びに候補者のご推薦を4月3日(月)から7日(金)までにお願いいたします。
詳しくは、本誌9ページから13ページまで、選挙要綱をはじめ、関連資料を添付しておりますので、ご協力の程どうかよろしくお願いいたします。

 次です。第62回神戸市障害者スポーツ大会実施要項を14ページに掲載しております。
この大会は、2023年に鹿児島で開催される「全国障害者スポーツ大会」(10月28日~30日)への選手選考の参考資料となりますので、よくお読みの上、奮ってご参加下さい。
次です。国際連合において、平成18年(2006年)に採択(意見・案などを良いものとして選び取ること)され、我が国が、平成26年(2014年)に批准(同意)した「障害者権利条約」の初回対日審査が令和4年8月に実施され、国連による総括所見が同年9月に公表されました。
これについては、以前に何度も取り上げたことがあるので、皆さんにとって記憶に新しいことと思いますが、国連が総括所見において、我が国に示した勧告・要請について、現時点における全国手をつなぐ育成会連合会(以下:全育連)の考え方が公表されました。5~7ページに掲載しておりますので、ご覧下さい。
今回、全育連が公表したのは、知的障害に関する分野で、第12条(成年後見関連)、第19条(住まいの場関連)、第24条(教育関連)、第28条(障害年金関連)等についてです。

今までのおさらいも含めて概要をお話ししたいと思います。
まず、第12条に関して、国連からは、代理代行的な意思決定体制(本人でなく後見人が決めている)ゆえに問題視されている現在の「成年後見制度」を廃止し、障害者本人の意思、選好を尊重する「支援付き意思決定メカニズム」を確立するよう勧告されました。
本制度については、本誌2月号でもお知らせしましたように、国に於いては、民法の改正も含めた抜本的な見直し議論が既に始まっております。(全育連の久保会長もメンバーです)
全育連では、知的障害者が制度利用する場合は長期にわたる可能性があるため、本制度だけに頼るのではなく、他にも利用しやすい権利擁護の仕組みを確立するように訴えております。

 次に、第19条に関して、国連からは、障害児者の施設収容廃止(入所施設廃止)とグループホームの生活を義務付けないこと、また、地域生活移行のために、期限付きの目標や人材、技術、資金を伴う法的な枠組みを策定し、都道府県へ義務付けることなどが「強い要請」として示されました。全育連では、こうした方向を実現するには、障害者本人が「どこで誰と暮らしたいのか」の意思決定するための支援や、また、本人が望む「暮らし方・暮らしの場」を選ぶことができる選択肢や手立てを増やすための方策が不可欠であること、そして、入所施設の廃止に向けては、入所施設が担っている機能・役割を明確化し、それらを地域で十分に継承することが出来る施策の実施が必要であると訴えております。つまり、生活が崩れた際の立て直しや、行動障害・医療的ケアー、その他諸々、真に入所施設が必要な人は多くいると思います。

24時間365日稼働している入所施設の機能や支援力を、どう地域で実践できるかをしっかり検証し、地域に継承していくことが可能となる施策の実施が不可欠であると思います。
続いて第24条では、国連からは「分離された教育の廃止」と、分け隔ての無い「インクルーシブ教育」実現のために、障害者への合理的配慮を行う等が「強い要請」として示されました。

これについても、本誌10月号で詳しくお話しさせていただきましたが、全育連では、本人と保護者が望む「学びの場」(通常学級、支援学級、支援学校等)を選べるようにすることが重要であり、障害者は「インクルーシブ教育を受ける権利はあるが、義務ではない」ことが示されております。ただ、教育場面での分断は、将来にわたっての分断につながる可能性も高いことから、インクルーシブ教育の実現を目指すためには、障害者各々が、学ぶことが可能となる、学びの保証を実現するための手立てを講じることが望まれると訴えております。

そして、その上で、特別支援学校・学級が担っている機能や役割を明確化し、それらをインクルーシブ教育の現場でも提供できる体制を構築することが必要であるとも述べています。
つまり、分けない教育を実現するのであれば、具体的には、教員配置の工夫や学校設備の改善、更には教師の専門性や、加えて研修体制の構築、また、少人数対応などが必要となります。

最後の第28条では、国連からは、障害者の生活水準を保障するため、障害者団体と協議の上で、障害年金の額に関する規定を見直すことが勧告されました。全育連では、特に中重度の障害者の生活水準は、障害基礎年金に大きく委ねられていることから、早急に障害基礎年金のあり方について、協議することを求めています。
以上が、障害者権利条約対日審査総括所見を受けての全育連の考え方についての概要です。
第12条の成年後見制度については、知的障害者にとって、特に「親なき後」には必要不可欠な制度であるにも関わらず、利用促進には結びついていないこと、そして、何より国連からの勧告もあり、大きく変わるものと思われます(先月号をご覧ください)ので期待したいと思います。

第24条の分離教育の廃止については、実現するには「道遠し」で、諸外国に於いても、インクルーシブ教育を目指しているものの、なかなか進まないという実態も聞いたことがあります。
インクルーシブ教育においては、「障害者の学ぶ権利」が、如何にすれば保証できるのかが、重要なポイントになってくると思います。

第28条の障害基礎年金額の見直しについては、早急に取り組んでいただきたいと思います。
問題は第19条の入所施設の廃止です。以前より、「入所施設から地域生活への移行の推進」と銘打って、国は、施設入所者数の削減目標値を定めていますが、重度や高齢の入所者が増えている現状で、どうやって削減を進めていくのでしょうか、また、最近聞いた話では、大阪府内の入所施設の待機者は、1000人以上いて、行き場のない待機者の中にはショートスティに2年3年と泊り続け、「ロングショート」で何とかしのいでいるというケースもあるそうです。
しかし、これは、大阪に限らず、多くの自治体が抱えている問題でもあると思います。

また、高齢の親が障害者を介護する「老障介護」と、その逆の「障老介護」と呼ばれる現実も忘れてはなりません。国も、各自治体も、実態調査は行っていないため、その数がどのくらいに上るのかは見当も尽きませんが、間違いなく住まいの場が必要です。
こういった多くの問題を抱えた中での「入所施設の廃止」は如何なものでしょうか。まずは、受け皿をつくる、それが大前提になると思います。  (会長 後藤久美子)
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