第345号 ~「障害者差別解消法」は施行されたけれど・・・~
2017 / 02 / 22 ( Wed )
              
 国連の「障害者権利条約」に批准するために、我が国ではここ数年、法整備が立て続けに行われてきましたが、最後の法整備となった「障害者差別解消法」が平成25年6月に成立し、本年4月より施行されました。
同法については、施行前より全国各地で研修会が行われておりますが、去る12月2日(金)に垂水区地域自立支援協議会主催で、又村あおい氏を講師に迎えた同研修会が実施され、私も参加させていただきました。

全国手をつなぐ育成会連合会の機関紙「手をつなぐ」の編集委員でおなじみの又村さんは、差別解消法や虐待防止法等の権利擁護関連だけでなく、多岐にわたっての専門的な知識を持たれ、多方面でご活躍されております。
現在、内閣府の障害者差別解消法アドバイザーもされておられる又村さんのお話しで、幾つか押さえるべきポイントはありましたが、私が一番心に残ったのは、各自治体で任意設置である「障害者差別解消支援地域協議会」(障害者差別に関する相談や、争いごとの防止、解決などを推進するために、関係機関がネットワークを構築し協議会を作る)を大都市である神戸市には、各区ごとに設置してほしいと言われたことです。

神戸市では同法が施行されるや否や、早々に「障害者相談窓口」を開設していただき、その対応にあたって下さっておりますが、障害者差別に関する条例や、上記の地域協議会設置については目下検討中です。実現に向け、引き続き声をあげていきたいと思っております。


前置きが長くなりましたが、ここからは「障害者差別解消法」について日頃思っている私の「ひとりごと」を聞いて下さい。
まず一つ目です。この法律は、ご存じのとおり、障害を理由とする差別的な取扱いの禁止と共に、合理的配慮の提供を求めています。
「障害者を差別する事は禁止です」とは、そもそも法律に謳うまでの事もなく、本来は当たり前のことですが、それをわざわざ謳わなければならない社会は、障害のない人たちにとっても住みにくい社会であると思います。
一方で、この合理的配慮については、今までになかった新しい考え方であり、「環境整備」や「建設的対話」をキーワードとして、相互を尊重し合いながら差別を解消し共生社会を実現するというもので、同法が「障害者差別禁止法」にならなかったゆえんであると思われます。(アメリカは「障害者差別禁止法」)
ただ、「合理的配慮」については、障害者側から「~してください」という意思表明があってから始まります。しかし知的障害者の場合、意思疎通が困難な方も大勢います。その場合は、家族等が本人を補佐して意思を表明しても良いのですが、問題は、それが本当に本人の意思であるのかという事と、何より、私たちは、今まで色々な場面において、「困りごと」があっても、常に「我慢」や「遠慮」をしてきたので、「~してください」ということに慣れていません。
現に、前述の神戸市が設置している「障害者相談窓口」もそうですが、全国的に見ても、知的障害者の案件は非常に少ないようです。

自分から訴えることが苦手な私たちですが、「障害者差別解消法」は、もうすでに動いているのです。例えば訴えても、先方の事情で対応出来ないこともあるかもしれませんが、私たちは遠慮せずに合理的配慮を求めても良いのです。
次に、最近、他都市で聞いたちょっとショッキングな事例です。
知的障害の成人男性A君が事業所の帰り道、幼ない女の子と出会いました。彼は「かわいいね」と言って、後をついて行ったそうですが、一緒にいた女の子の母親が気味悪がって警察に通報、彼は警察署に連れて行かれました。
連絡を受け警察署に出向いた家族は署員から、一人で外出させないようにと言われ、A君に対しては「もう、しません」という誓約書を書かせたそうです。
「もう、しません」とは、一体何を指しているのでしょうか。「もう後をついて行きません」という意味合いなのでしょうか。
この事例を聞いてすぐに頭をよぎったのが、ストーカーに殺められた女性の家族が決まって言うセリフです。「警察に相談しても何もしてくれなかった。何か起こってからでないと警察は動いてくれない」
何か起こらないと動かないと言われている警察が、どうして何も起こってないのに誓約書まで書かせるのでしょうか。普通の人には求めない事を障害者に求めている・・・。これは、明らかに障害者差別に値すると思います。


「障害者差別解消法」は施行されましたが、盲導犬の同伴や聴覚障害者の入店を拒否した事案も聞こえてきます。周知不足は否めず、まだまだ浸透されていない現状です。しかし、いくら立派な法律ができても、完全に周知されたとしても周りの人の気持ちが変わらなければ何も変わらず、共生社会の実現など不可能です。この法律を活きたものとするのか、絵に描いた餅で終わらせるのか、今後、親の会の真価が問われます。親あるうちに取り組まねばならない事が、又一つ、浮き彫りになりました。     
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