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第365号~あれから2年・・「変わっていない」ことと、「変わり始めた」こと~
2018 / 08 / 21 ( Tue )
  
  「かつて経験したことがない」と言われた「豪雨」の次は、「命に関わる」とまで言われた「猛暑」、そして観測史上、
類を見ない、東から西へと「逆進する台風」と、今年の7月は、「自然が織りなす猛威」では済まされない異常気象が続き、
「いったい地球はどうなっているのだろう」と恐怖すら覚えました。
全国手をつなぐ育成会連合会では、甚大な被害を各地にもたらした「西日本豪雨」の義援金を募集しております。
阪神大震災の折には、全国の育成会から、励ましの言葉と共に多くの義援金を頂戴しました。
事務局に募金箱を設置しておりますので、催し物等で育成会会館にお越しの際は、どうかご協力のほど、
よろしくお願いいたします。

 さて、日本中を震撼させ、私たちを恐怖のどん底に陥れた「津久井やまゆり園」の殺傷事件から、先月26日で、
2年が経過しました。
「障害者差別」や「優生思想」、更には、被告自身の「精神鑑定」の問題等、日本社会に深刻な問題を投げかけたこの事件は、
発生当初こそメディアが大きく取り上げていたものの、いつのまにか、節目の際に、セレモニーの如く報道されるのみとなり、
事件が忘れられ風化していく現状が懸念されておりました。
そんな中、7月21日、創(つくる)出版より、被告の手紙や手記が掲載された書籍が発行されました。
タイトルは、「開けられたパンドラの箱」です。
同社の編集長は、手紙や面会等で、約70回にわたって被告とのやり取りを重ね、
月刊誌「創」に被告の主張を掲載しておりました。私もその記事を何度か読んだことがあるのですが、
被害者への謝罪や犯行を後悔するような言葉は一切なく、
相変わらず障害者を差別した身勝手な持論を唱えているのみでした。
今回出版した書籍は、月刊誌に掲載された記事と共に、被告自身が、獄中で約半年かけて描いたという30ページにも及ぶ
漫画(人類社会に絶望して暴力的に破壊するという内容で、1コマ見ただけですが、
ドン引きするようなグロテスクな絵に見えました。)や、精神科医等、専門家の意見や、
また、被害者の家族の声も掲載されているそうです。
この1年間、被告は様々なメディアの取材に応じており、これから行われる裁判について聞かれると、「殺したことは認めるが、
彼らは人ではないので殺人ではない」と主張したり、また、知的障害者のことを、意思疎通ができないという意味で、
「心失者(しんしゅつしゃ)」と呼んでいるそうです。障害者に対する偏見・差別は更にエスカレートし、全くあきれるばかりです。

 出版に関しては、「被告の主張が正当化され拡散する恐れがある」と静岡県の大学教授(発達障害者の父親)や
地元育成会が、約2,000人の署名を集め出版中止を訴えましたが、差別的な主張の部分を減らして、出版に踏み切りました。
同社編集長は、「被告の意見を黙殺せず背景を解明する必要がある。本は、議論を深めてもらうための問題提議」と主張し、
それに対し「事件の検証につながる」と評価する声や、一方では「被告に焦点を当てるのはやや商業的」と
賛否両論に意見は分かれ、波紋を呼んでいるようです。

被告は、現在2度目の精神鑑定中(本稿執筆8月初旬)で、その後に行われる裁判は、裁判員裁判になる見込みですが、
死刑になる可能性が高いと言われております。
上述編集長は、被告を死刑という罪で罰しただけでは、問題解決や再発防止にはつながらないと主張しています。確かに、
事件の骨格になっている部分、つまり、障害者施設職員が何故、ああいう考えに変わっていったのか、
未だ、明らかになっておりません。
 しかし、書籍の出版は、編集長の思惑とは裏腹に、事件当時のように、被告の考えに同調する差別的な発言が
多数上がるのみで、また、あの頃のように、多くの知的障害者や家族、そして、
未だに名前を公表できずにいる遺族の方々に、更なる恐怖・苦しみを味あわせるだけで終わるのではないかと思います。
私は、被告が、逮捕後に送検される車の中で見せた、あの大胆不敵な「笑み」を今も忘れる事が出来ません。加えて、
拘置所の中から、接見を希望する複数のメディアに対して、インタビューに答えたり、
得意げに手記等を発信する被告の言動を見ていると、まるで自分が「特別な存在」「有名人」であるかの如く、
何か楽しんでいる様にさえ見えます。
2年経った今も、被告は何も変わっておりません。遺族の悲しみや恐怖も癒えることはありません。
 
 そして、障害者に対する差別・偏見も、あの頃と大きく変わっていないように思います。
しかし、そんな中、一筋の光も見えてきました。
事件発生の頃は、「やまゆり園」の利用者は重度障害ゆえに、暮らしの場は入所施設しかないと言われていましたが、
園舎取り壊しによる移転で、新しい生活の場を経験したことにより、グループホームや、ヘルパーサービスを使っての地域生活を始めた人もいるそうです。
むごたらしい、許し難い、悲しい事件ではありましたが、やまゆり園の利用者・家族・関係者は、前を向いて歩き始めました。
私たちも、「7・26」を決して忘れず、風化させず、そして、少しずつでも変わっていくであろう未来に向けて、
力を合わせて歩んで行かねばなりません。
私はこの事件のことを書く時、いつも「被告」という名称で、決して名前は記していません。
それは、差別や偏見から実名を公表できないでいる遺族の傍らで、今もなお、英雄気取りで差別的な発言を繰り返す
「被告」に対する私のちっぽけな「抵抗」です。

 13ページに本人の勉強会の案内を掲載しております。本人のこれまでの生活、経験、心情から、
本人の「隠れた想い」を引き出し、今後の支援のツールとして、また、サービス等利用計画作成の際にも
役立てていただければと思います。まずは、一度参加してみて下さい。
3ページから8ページまで、神戸市に対する要望書を掲載しております。
会員の皆様から寄せられた要望をまとめて、神戸市に提出いたしました。掲載されていない要望もあるかと思いますが、
いくつかは、口頭にてお願いしてまいりました。ご覧下さい。   
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