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第365号~あれから2年・・「変わっていない」ことと、「変わり始めた」こと~
2018 / 08 / 21 ( Tue )
  
  「かつて経験したことがない」と言われた「豪雨」の次は、「命に関わる」とまで言われた「猛暑」、そして観測史上、
類を見ない、東から西へと「逆進する台風」と、今年の7月は、「自然が織りなす猛威」では済まされない異常気象が続き、
「いったい地球はどうなっているのだろう」と恐怖すら覚えました。
全国手をつなぐ育成会連合会では、甚大な被害を各地にもたらした「西日本豪雨」の義援金を募集しております。
阪神大震災の折には、全国の育成会から、励ましの言葉と共に多くの義援金を頂戴しました。
事務局に募金箱を設置しておりますので、催し物等で育成会会館にお越しの際は、どうかご協力のほど、
よろしくお願いいたします。

 さて、日本中を震撼させ、私たちを恐怖のどん底に陥れた「津久井やまゆり園」の殺傷事件から、先月26日で、
2年が経過しました。
「障害者差別」や「優生思想」、更には、被告自身の「精神鑑定」の問題等、日本社会に深刻な問題を投げかけたこの事件は、
発生当初こそメディアが大きく取り上げていたものの、いつのまにか、節目の際に、セレモニーの如く報道されるのみとなり、
事件が忘れられ風化していく現状が懸念されておりました。
そんな中、7月21日、創(つくる)出版より、被告の手紙や手記が掲載された書籍が発行されました。
タイトルは、「開けられたパンドラの箱」です。
同社の編集長は、手紙や面会等で、約70回にわたって被告とのやり取りを重ね、
月刊誌「創」に被告の主張を掲載しておりました。私もその記事を何度か読んだことがあるのですが、
被害者への謝罪や犯行を後悔するような言葉は一切なく、
相変わらず障害者を差別した身勝手な持論を唱えているのみでした。
今回出版した書籍は、月刊誌に掲載された記事と共に、被告自身が、獄中で約半年かけて描いたという30ページにも及ぶ
漫画(人類社会に絶望して暴力的に破壊するという内容で、1コマ見ただけですが、
ドン引きするようなグロテスクな絵に見えました。)や、精神科医等、専門家の意見や、
また、被害者の家族の声も掲載されているそうです。
この1年間、被告は様々なメディアの取材に応じており、これから行われる裁判について聞かれると、「殺したことは認めるが、
彼らは人ではないので殺人ではない」と主張したり、また、知的障害者のことを、意思疎通ができないという意味で、
「心失者(しんしゅつしゃ)」と呼んでいるそうです。障害者に対する偏見・差別は更にエスカレートし、全くあきれるばかりです。

 出版に関しては、「被告の主張が正当化され拡散する恐れがある」と静岡県の大学教授(発達障害者の父親)や
地元育成会が、約2,000人の署名を集め出版中止を訴えましたが、差別的な主張の部分を減らして、出版に踏み切りました。
同社編集長は、「被告の意見を黙殺せず背景を解明する必要がある。本は、議論を深めてもらうための問題提議」と主張し、
それに対し「事件の検証につながる」と評価する声や、一方では「被告に焦点を当てるのはやや商業的」と
賛否両論に意見は分かれ、波紋を呼んでいるようです。

被告は、現在2度目の精神鑑定中(本稿執筆8月初旬)で、その後に行われる裁判は、裁判員裁判になる見込みですが、
死刑になる可能性が高いと言われております。
上述編集長は、被告を死刑という罪で罰しただけでは、問題解決や再発防止にはつながらないと主張しています。確かに、
事件の骨格になっている部分、つまり、障害者施設職員が何故、ああいう考えに変わっていったのか、
未だ、明らかになっておりません。
 しかし、書籍の出版は、編集長の思惑とは裏腹に、事件当時のように、被告の考えに同調する差別的な発言が
多数上がるのみで、また、あの頃のように、多くの知的障害者や家族、そして、
未だに名前を公表できずにいる遺族の方々に、更なる恐怖・苦しみを味あわせるだけで終わるのではないかと思います。
私は、被告が、逮捕後に送検される車の中で見せた、あの大胆不敵な「笑み」を今も忘れる事が出来ません。加えて、
拘置所の中から、接見を希望する複数のメディアに対して、インタビューに答えたり、
得意げに手記等を発信する被告の言動を見ていると、まるで自分が「特別な存在」「有名人」であるかの如く、
何か楽しんでいる様にさえ見えます。
2年経った今も、被告は何も変わっておりません。遺族の悲しみや恐怖も癒えることはありません。
 
 そして、障害者に対する差別・偏見も、あの頃と大きく変わっていないように思います。
しかし、そんな中、一筋の光も見えてきました。
事件発生の頃は、「やまゆり園」の利用者は重度障害ゆえに、暮らしの場は入所施設しかないと言われていましたが、
園舎取り壊しによる移転で、新しい生活の場を経験したことにより、グループホームや、ヘルパーサービスを使っての地域生活を始めた人もいるそうです。
むごたらしい、許し難い、悲しい事件ではありましたが、やまゆり園の利用者・家族・関係者は、前を向いて歩き始めました。
私たちも、「7・26」を決して忘れず、風化させず、そして、少しずつでも変わっていくであろう未来に向けて、
力を合わせて歩んで行かねばなりません。
私はこの事件のことを書く時、いつも「被告」という名称で、決して名前は記していません。
それは、差別や偏見から実名を公表できないでいる遺族の傍らで、今もなお、英雄気取りで差別的な発言を繰り返す
「被告」に対する私のちっぽけな「抵抗」です。

 13ページに本人の勉強会の案内を掲載しております。本人のこれまでの生活、経験、心情から、
本人の「隠れた想い」を引き出し、今後の支援のツールとして、また、サービス等利用計画作成の際にも
役立てていただければと思います。まずは、一度参加してみて下さい。
3ページから8ページまで、神戸市に対する要望書を掲載しております。
会員の皆様から寄せられた要望をまとめて、神戸市に提出いたしました。掲載されていない要望もあるかと思いますが、
いくつかは、口頭にてお願いしてまいりました。ご覧下さい。   
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第364号~今月号をスミからスミまで読んでみよう!~
2018 / 08 / 09 ( Thu )
             
 遠く離れた日本海を進んでいたせいか、被害等、全く予想だにしなかった台風7号が引き連れてきた梅雨前線の影響で
、西日本を中心に数十年に一度という大雨が降り、広域にわたって各地に、甚大な被害が発生しました。
当会においては、支援学校の高等部の生徒を対象にした恒例の「進路情報提供会」を7月7日(土)に行う予定だったのですが、
止む無く中止にしました。
豪雨による被害の全容は、まだ明らかではありませんが(本原稿執筆時)、週明けの9日には、
例年に比べて10日前後も早い梅雨明けが発表されました。被災地の方々にとっては、
猛暑の中での捜索活動や復旧作業等、過酷な日々が続くと思いますが、一日も早い復興・復旧を心からお祈りいたします。
さて、今月は、特にテーマを決めてお話しするのではなく、本誌に掲載している記事について、
細かくいろいろと掘り下げてお話ししたいと思います。

 まずは、先月号でも予告案内いたしました又村あおいさんの研修会の案内を最終ページに掲載しておりますので、ご覧下さい。
当会では、ここ数年、「取り組もう!親なきあとは親あるうちに」をスローガンに、ハード面では住まいの場の整備を、そして、ソフト面においては、「親なきあと」を踏まえた、いろいろな観点からの研修会を行っております。
昨年度末には、マスコミ等で話題になっている「家族信託」についてを、最近では、親なきあとをサポートする
「生命保険信託」についての説明会を行いました。
そして、今回は、久々に又村さんにお越しいただき、「障害のある人の暮らしとお金 ~いくら必要?どう託す?~」と題した、
親なきあと、私たちが一番気がかりな「お金」について、今から準備しておくこと等も含め、
いつも通り分かり易くお話しいただきます。

お盆前のあわただしい時期ではありますが、大勢のご参加をお待ちしております。
次に、7ページに「心の輪を広げる体験作文」の募集を掲載しております。
これは、内閣府が「障害者週間」の取組の一つとして行っているもので、都道府県や指定都市が共催し、
作文とポスターの募集をしております。
作文の内容は、例えば、障害のある子どもさんと歩んできた道のりを振り返り、社会の人々との関わりの中で、
嬉しかったこと、悲しかったこと、そして、障害のある人も無い人も共に生きる社会を構築するためには、
どうすればいいのか、どんな社会になってほしいか等、何でもお書き下さればと思います。
子育てに一番近いお母さんはもちろんですが、ご兄弟の立場から、またお父さんの想いもお聞きしたいですね。
(6ページ掲載の「リレー随筆」、最近は、お父さんバージョンで9区のお父さん方に順に寄稿いただいています。
今月号も力作です)なお優秀作品については、内閣府が主催する全国大会へ出品されるそうです。
皆さんも、ぜひ一度、挑戦されてみてはいかがですか?
続いて、3ページから5ページにかけては、「全国手をつなぐ育成会連合会」に提出した国に対する要望書を掲載しております。
これは皆さんが「難しい」「おもしろくない」と、スルーしてしまうページかもしれませんが、
法律や制度、サービス等の不備な点は、国(或いは神戸市)に対して声をあげなければ改善されません。
「障害福祉」の現状を知るためにも是非お読みいただければと思います。

 皆さんに身近な要望事項を幾つか補足説明しますと、まず初めの、高齢障害者の項目、これは今後、本人たちが直面する、
正に「65歳問題」です。
「介護保険優先」の原理から、65歳になった時、障害と高齢で相当するサービス(生活介護、居宅介護、短期入所)については、介護保険に移行となりますが、しかし、その際必要な「介護認定」は主として身体状況で判断されるため、
知的障害者は軽くなることが多く、サービス支給量が低下することが予想されます。

例えば、デーサービスを週に5日間利用していた人が、介護保険に移行すると、3日しか利用出来ないという事態も
起こり得るのです。足らずの2日間は、障害から支給する方法(「上乗せ」と言います)もあるのですが、
国による取決めはなくて、自治体での判断となっております。
神戸市の場合は、「居宅介護」のみ支給量を上乗せすることは可能ですが、残りのサービスについては行っておりません。
残りのサービスも対象となるように市に対しては要望いたしますが、しかし、やはり、大本の「国」の方で取り組まない限り、
解決しないようにも思われます。

 また、1割負担については、いくつかの条件があえば償還されることになっていますが、しかし、65歳になる以前に5年間、
そのサービスを利用しなければならないという条件があります。
例えば、62歳までB型事業所に在籍し、その後、生活介護の事業所に移った場合、利用期間が3年のため、
65歳以降の償還はありません。償還されるためには、60歳になった時点で、生活介護に行かざるを得ないという様な問題が
発生し、その改善を求めております。
グループホームについては、入所施設に変わる住まいの場として位置づけられ、特に、障害者の「重度・高齢化」に対応するため、本年4月より創設された「日中サービス支援型」グループホームは、昼間も含んだ手厚い職員配置となっておりますが、
まだまだ不充分で、24時間365日の支援が可能となる報酬の確保が必要です。
移動支援については、保護者の高齢化により、日中活動の場への送迎が困難となっていることから、
当会においても一番要望が多く、また、短期入所利用時や、入所施設利用者にもサービス利用が可能となるような
要望も含まれております。本サービスは「地域生活支援事業」で自治体の裁量で行う事業であるため地域格差も生じています。
保護者の高齢化という現状を考え、国の責任のもと実施されるよう要望いたしました。その他の要望事項も是非ご覧下さい。
神戸市に対する要望書は、今月末に提出いたします。        
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第363号 ~子供たちのために「やらなければならない努力」と「無駄(?)かもしれない努力」、でも両方大切だと思います。~
2018 / 08 / 09 ( Thu )

  「まごたちわやさしい」・・・。皆さんは、どこかで、この言葉をお聞きになった事はありませんか?
これは、健康的な身体づくりに欠かせないバランスの良い食品の覚え方で、「豆、ごま、卵、乳製品、わかめ、
野菜、魚、しいたけ、芋」が、その食品となります。また最近では、これらの食品は骨粗しょう症の予防にも効果があると
言われているそうです。
実は最近、私は、骨粗しょう症の検査で、今までの「要注意」から「危険域」の範囲内に入ってしまいました。
人一倍健康面には留意し、「栄養オタク」「筋トレオタク」を自負する私なのですが、お医者様いわく、
痩せている人は体重が軽い分、骨に負荷がかからないため、太っている人と比べ、
骨粗しょう症になるリスクが非常に高いそうです。

 栄養のバランスに考慮した「My弁当」を常に持参し、一日30品目以上の食材を摂り、
そして、1時間程度の筋トレを休むことなく毎日実践している私は、「障害のある子供より、絶対に長生きしてやるぞ~」という
強い(?)信念のもと、これまで日々努力を重ねてきたのですが、「痩せ体型」の私にとって、
思いもよらぬ大きな落とし穴が待っていました。
最近は、骨密度の数値を上げるため、カルシウムを多く含んだ乳製品の摂取量を増やしたり、
また、骨に負荷を与える運動にひたすら取り組む等、改善に向け奮闘しております。
そもそも、子供より長生きするなど到底無理な話なのですが、例え1日でもいい・・、健康で長生きしたいがため、
「無駄な努力」かもしれませんが、今後も続けていきたいと思います。

 さて、次は、子供たちのために「やらなければならない努力」のお話です。
昨今、新しい形の啓発活動として、全国各地の育成会が取り組んでいる「知的障害擬似体験・キャラバン隊活動」ですが、
5月15日(火)に当会館において、キャラバン隊立ち上げに向けての研修会を、たつの市育成会の「ぴーす&ピース」を
お招きし行いました。
「ぴーす&ピース」は、「たつの市手をつなぐ育成会」が中心となり結成されたキャラバン隊ですが、
会員だけでなく、たつの市の市役所や社会福祉協議会の職員さん、また、一般市民の方々がメンバーとなり、
市内の学校・民生委員・警察・企業等、様々な団体に向けて、疑似体験活動を通した啓発活動を精力的に行っています。

 更には、北は北海道から南は九州までの多くの育成会に出向き、キャラバン隊を結成するための講座も行い、現在では、
全国で約60程度の育成会が、この活動に取り組んでおります。
知的障害の特性を社会の人々に、どの様に伝えれば理解していただけるのでしょうか?
私たちも、これまで幾度となく様々な場所で啓発活動を実践してきましたが、言葉による説明、
いわゆる座学による語りかけだけでは、どうしても限界があります。しかし、この活動には障害特性について、
具体的で、且つ客観的な論理が組み込まれており、様々なプログラムを実際に体験することにより、障害特性についての
気づきや理解が生まれるのです。
プログラムの内容は、ロールプレイやグループワーク等、様々なメニューがありますが、どのキャラバン隊も、
メインには疑似体験活動を実施しているようです。

 楽しくワクワクしながら、正にゲーム感覚で参加できる擬似体験なのですが、幾つか具体的に紹介しますと、
知的障害者が持つ「抽象的な言葉での理解が困難である特性」については、参加者に「抽象的な言葉」を絵で
表していただきます。抽象的な言葉を絵で表現することの困難さを体感していただき、
具体的に伝えることの大切さを知っていただきます。
 また、「周りは見えずに興味のある物だけしか見えない」という知的障害者の視点
(一点集中、シングルフォーカスと言われています)を、ペットボトルを使った眼鏡を使用し体感していただきます。
また、コミュニケーションがうまく取れない障害特性については、寸劇を通して、
言葉が伝わらないもどかしさ困り感を参加者に体感していただき、身振りや絵・写真等の有効性の理解につなげます。
「障害者差別解消法」が施行されて、「合理的配慮」という考え方が、この法律の大きな柱となっておりますが、
合理的配慮を行おうにも、社会の人々は、知的障害の特性を知らないため、肢体・視覚障害の方々の様な合理的配慮による
好事例がなかなか聞こえてきません。 
それどころか、障害者施設を建設するとなると、必ずと言っていいほど、地元の反対運動が起こります。
時には、不審者と勘違いされることもあります。奇異な目で見られることは数知れません。
しかし、社会の人々が知的障害について知らないために、差別や偏見が生まれるのです。
「知らない」なら伝えなければなりません。伝える事により理解が生まれます。理解が生まれれば世の中も変わり、
障害のある本人たちにとって住みやすい社会になるのではないでしょうか。
「障害者差別解消法」は、地方自治体に対して、啓発活動の実施を義務付けております。また、「障害者総合支援法」では、
障害者の地域生活に関する啓発事業を、自治体が行う「地域生活支援事業」の必須事業として位置づけております。
「キャラバン隊」は、正に、自治体での施策の対象となり得る活動なのです。
行政や社協等の皆様のご協力を得ながら、この活動を進めてまいりたいと思います。
もうしばらくすると、立ち上げに向けての具体的な動きに入っていきますので、
その際には、どうぞ多大なるご協力・ご支援のほどよろしくお願いいたします。

 最後に研修会の予告です。8月10日(金)に、全国手をつなぐ育成会の機関紙「手をつなぐ」でお馴染みの又村あおいさん
(イケメンです)にお越しいただき、研修会を行います。(本誌5ページに案内予告を掲載しております。)
内容は、ずばり「お金」についてです。親なきあと、障害年金を受けながら地域で暮らしていくためには、どれだけ必要で、
どれだけ不足が出てくるのか。そして、どう蓄えて、どう残すのか等、いつも通り具体的に分かり易くお話いただきます。
詳しくは来月号でご案内します。             
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第362号~長い道のりでした。そして、誕生と共に散った一つの生命・・。~
2018 / 05 / 24 ( Thu )
             
 大型連休前後、久々に風邪をひいてしまいました。幼稚園を最後に一切熱を出した事がない強靭な肉体を持つ私は、今回も発熱には至りませんでしたが、鼻水だらけの連休を過ごしました。皆様も、くれぐれも健康にはご留意下さい。
さて、雷が鳴り響き、一時は、どしゃ降りとなった長田神社での地鎮祭とは打って変わり、新緑が香る好天に恵まれた4月26日(木)、しあわせの村内の研修館において「えみのき(咲の樹)」の竣工式が執り行われました。当日は、年度替わりの大変お忙しい中にも関わらず、神戸市保健福祉局の三木局長をはじめ、大勢のご来賓の皆様がお祝いに駆けつけて下さいました。
そして、竣工式終了後には内覧会を行いましたが、長年の悲願であった「住まいの場」を間近にし、
ご支援いただいた大勢の皆様への感謝と共に、皆で追い求めた「夢」が実現し、感無量でした。

思い起こせば、新緑福祉会にとって初めての入所施設「とこはの家」が誕生したのは、平成15年3月31日で、戦後からの長きにわたって続いていた「措置制度」の、正に、最終年度、最終日の開設でした。
そして、翌日、平成15年4月1日からは新たに「支援費制度」が導入され、新しい福祉の時代が始まりました。

そして、ちょうどこの頃から、国では「もう入所施設は造らない。施設から地域へ」という事が盛んに叫ばれるようになり、
「のぞみの園」をはじめとする大型コロニー施設では、「地域移行」の取り組みが始まりました。
しかし、重度障害者を抱える保護者にとっては、「親なきあと、いったい我が子はどうなるのだろう」と
不安にかられる毎日で、国の意向とは裏腹に「入所施設」建設への想いは強く、この間、
入所施設の待機者はどんどん膨らみました。また、行き場のない障害者はショートスティを長期間利用したり、
挙句のはてには、精神病院に入院する等、悲惨な状況であったと聞いております。
そんな時、「障害者総合支援法」成立の際の衆参両院の付帯決議において、「小規模入所施設」という言葉が
突如として浮上してきました。付帯決議とは、「法律は成立させるが、これについて検討して下さい」という議員さんから
の注文であり、その中身は、「障害者の重度化・高齢化や親なきあとを見据え、
地域での居住支援のあり方について検討して下さい」というもので、その居住にあたるのが、
ケアホームと一元化した後の「グループホーム(以下GH)」と「小規模入所施設」なのです。

小規模(30人程度)とは言え、久々の入所施設という言葉に私たちは驚愕しました。
そして、「この機会を逃すとチャンスは2度とこない、絶対に実現しよう」と新緑福祉会に働きかけ、
これを機に、建設に向けての準備が始まりました。
新緑福祉会の平田理事長と共に、連名で、久元市長へ要望書も提出しました。次年度の国家予算の説明会では、
私は、質問の時間に、居合わせた厚労省の課長さんと10分近くやり取りをし、入所施設の必要性を延々と訴えました。
(次年度から何故か質問の時間はなくなってしまいました)
その他、色々な準備を進めておりましたが、国では、小規模入所施設は障害者の地域生活を支えるための核となる施設とし、
住まいの場についてはGHを位置付けるという考えが示されました。
そして、その後の「障害者総合支援法・3年後の見直し」において、重度高齢障害者はGHで、
軽度者は新サービスである「自立生活援助」等を利用し、アパートでの一人暮らしをという具体的な方向性が
打ち出されたのです。
私たちは名称は何であれ、現存する入所施設以上の機能を持った住まいの場を造ろう!を合言葉に、
育成会と新緑福祉会の担当者によるワーキングチームを結成し、準備を進めていきました。
メンバーの方たちには、全国の先進事例として運営されている数か所のGHの視察に行っていただきました。
そして、何度も何度も集まって会議を開き、視察に基づいた検討が為されました。
神戸市関係当局の皆様には、国庫補助の申請や土地の貸与等、その他、並々ならぬご支援ご配慮を頂戴しました。
その他にも、多くの方々のお力をお借りし、そして、私たちの夢が実現する事が出来ました。
ご支援ご協力いただいた全ての皆様には、心より感謝申し上げます。

しかし、これが最終目標ではありません。平田理事長と力を合わせ、必ずや、第2第3の住まいの場を実現させたいと思います。どうか一層のご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします。
そして・・・、「えみのき」竣工を見定めて、安心されたのでしょうか、この日を誰よりも待ち望んでおられた新緑福祉会の元理事で、前・新緑福祉会後援会長の川口信弘氏が竣工式の翌日に、永遠の眠りにつかれました。川口氏は、いつも入所施設建設を強く訴えられ、お会いする度、「現在、どんな動きになっていますか」と常に気にしておられました。その笑顔は「頼みましたよ」と、私の背中を押して下さっている様に私には思われました。大変お世話になりました。合掌・・・。

最後に、お知らせです。まずは当会館2階で行っている 、当事業を頻繁に利用されていた数名の方が、
最近、GHに入居された関係で、多少の空きが出始めました。
本誌11ページに空き状況等、掲載しておりますので、是非ご利用下さればと思います。
最近、突然に保護者が亡くなられるというケースが増えてきております。
外泊経験のない本人にとっては、二重の痛手となります。親あるうちに、日頃から福祉サービスを利用する等、
出来るところから始めて下さい。
そして、もう一つ、「旧優生保護法」について、全国育成会連合会の久保会長より声明文が出され、
8ページに掲載しております。これに関しては、又後日、機会があれば書かせていただきます。
20 : 04 : 54 | 会長のひとりごと | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
第361号 ~UDフェアーで健康チェック。andお待たせしました!ついに完成です。
2018 / 04 / 28 ( Sat )
              
1週間前の寒さはどこへ行ったのやら、暖かな日差しの下、3月18日(日)に、リサイクル
バザーでにぎわうしあわせの村内の体育館において、「第15回こうべユニバーサルデザインフェアー」(以下:UDフェアー)が開催されました。
UDフェアーとは、障害のある人が必要とする様々な最新の福祉機器等の展示と共に、一般の方に、それらの機器を実際に体感していただくことによって、障害ゆえの生きづらさを知っていただき、障害理解を深めるために行われている催しです。(キャラバン隊の擬似体験活動と相通じるものがありますね)

当日は13の法人が参加し、障害による生きづらさを軽減させるための最新の機器が展示されていましたが、一般の方向けに、介護予防のための身体能力測定装置や、血管年齢チェックに健骨度チェック等、元気で長生きするための健康に関するブースも設置され、健康志向の高い中、行列が出来ているコーナーもありました。
次回のUDフェアーも同時期に開催されることと思います。是非春の気配が漂うしあわせの村に足をお運びになり、様々な障害者が抱える生きづらさの体感と共に、元気で長生きするために、
ご自身の健康チェックをしてみて下さい。

そのUDフェアーの会場から目と鼻の先に位置する、私たちが待ち望んだ、重度高齢化対応の
グループホーム「えみのき(咲の樹)」がいよいよ完成です。
完成にあたり、4月26日(木)には竣工式が執り行われ、その後の一般見学会(本誌13ページに案内文記載)や入居予定者の体験を経て、グループホームの本格的な運営が始まります。
当施設はご存知の通り、20人(10+10)のグループホームと、10床のショートスティ、加えて、
指定特定相談事業所も兼ね備えており、かつて「障害者総合支援法」の成立の際の付帯決議で突如として登場し、
一時、話題の的であった「小規模入所施設」や、また、障害者が住み慣れた地域で暮らしていくために
、国が推奨している「地域生活支援拠点」をも彷彿させる施設であり、今、全国の育成会の間でも大きな注目を集めております。
グループホームの募集にあたっては、20人の定員に対して、84名もの方からの応募があり、
第2第3の住まいの場の必要性を強く感じております。

この度、「えみのき(咲の樹)」は無事完成し安堵しておりますが、これは決してゴールではなく、
むしろスタートです。「えみのき号」の船出を見送った私たちは、早急に「第2えみのき号」の
船出の準備をせねばなりません。新緑福祉会と育成会はもちろん、関連4団体、そして会員の
皆さんが一丸となり、二つ目の「夢」の実現に向け共に頑張りましょう。ご協力どうぞよろしく
お願いいたします。
そして、最後のお話ですが・・親なきあとに向けての対策には、ハード面とソフト面があります。
住まいの場の創設は前者のハード面となりますが、後者のソフト面についても、今後、重点的に
取り組んでいかねばなりません。
それは、知的障害についての理解を得るための啓発活動です。
親なきあとに向けての住まいの場の整備はもちろん急務ですが、しかし、グループホームをはじめ、
何か障害者関連の施設を建設したくとも、必ずと言っていいほど地元の反対という大きな壁が立ちふさがり、
計画を立て準備したにも関わらず、反対の声が収まらず、断念せざるを得なかったというケースも珍しくありません。
今回の「えみのき」は、しあわせの村という立地条件であったため、さすがに反対はありませんでしたが、
今後は、そういったことも視野に入れ取り組まなければなりません。
飛び跳ねたり、一人でブツブツ喋ったり、奇声をあげたり、
人をじっと見たり・・・どれも一般の方から見ると奇異な行動に映り、
「何をするかわからない」という先入観を持たれるのかもしれません。
 しかし、奇異に思うその行動一つ一つに、実は理由があるということ・・つまり障害特性を、
社会の人々に正しく伝えていくこと、それは、私たち親の責務であると思います。
「障害者差別解消法」が施行されても、相変わらず、あちこちから差別事例が聞こえてきます。
「合理的配慮の提供」が義務付けられても、目に見える障害と違って、知的障害者からはその成果が聞こえてきません。
それは社会の人々が障害について知らない、正しく理解されていないからであり、
またそのことが差別や偏見につながるのです。
 
 そんな中、今、全国手をつなぐ育成会では「知的障害擬似体験・キャラバン隊活動」に多くの育成会が取り組んでおります。
去る1月30日(火)、育成会会館において、近畿各地で活動するキャラバン隊をお招きし、
色々なパフォーマンスを披露いただきましたが、次はいよいよ私たち神戸の出番です。
本誌11ページに記載の通り5月15日(火)に当会館において、立ち上げに向けての研修会を行います。

 当日は、本活動に行政・市社協・市民の皆様をも巻き込んで、学校・民生委員・警察・企業等で幅広く活動し、
また全国各地の育成会では立ち上げ講座も実施されている兵庫県のたつの市育成会「ぴーす&ピース」の皆さんに
お越しいただき、ご指導いただきます。実によく考えられている色々なメニューを是非ご覧下さい。
大勢の皆様のお越しをお待ちしております。
「人前で話すのは苦手」な方には、活動で使用する小道具作りや、当日の資料配布や回収といったお仕事もあります。
皆で役割分担をして取り組むことに意義があり、その熱意が周りの人の心を変えていくのではないかと思います。

 障害者差別解消法には、「国及び地方公共団体は差別の解消を図るため必要な啓発活動を行うものとする」という文言があり、まさに障害理解のための啓発活動は、自治体の必須事業として義務付けられているのです。
今年度、キャラバン隊を立ち上げ、神戸市行政・市社協の皆さんをも巻き込んで、活動していきたいと思います。
大勢の皆様のご協力をお願いいたします。
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