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第359号~キャラバン隊、大盛況でした! そして、大ヒット曲“糸”起用の訳は?~
2018 / 02 / 25 ( Sun )

  例年の冬にはあまり聞き慣れない“数十年に一度の寒波”そして“記録的な大雪”と、今期は、こういった言葉をいったい何度耳にしたことでしょうか。各地で被害が続出し市民生活にも影響を及ぼしているようですが、本誌が皆様のお手元に届く頃には、春の気配が感じられる日々であることを祈りつつ、今月も『ひとりごと』をしたためたいと思います。

 まずは、1月30日(火)開催のキャラバン隊の研修会、無事終了しました。当日は近畿各地からの育成会会員はもちろんですが、神戸市障害福祉・支援
課をはじめ、神戸市社会福祉協議会、障害者地域生活支援センター等の方々も大勢お越しいただき、実に150名を超える参加者が会場を埋め尽くしました。 
今年度、札幌で開催された全国大会の特別分科会でも同じ内容で行われましたが、嬉しいことに、その参加者を遥かに上回るものとなりました。

 今回の研修会は、今までなかった知的障害者の擬似体験活動ということで、斬新で画期的な取組みのため、会内外から注目を浴びましたが、研修会を実施した一番の成果は、近畿各地の会員がキャラバン隊の必要性を認識し、立ち上げに向けて意欲を示してくれたことに尽きると思います。
当日、お越しいただいた全国手をつなぐ育成会連合会の久保会長には、キャラバン隊活動のモデルとなる冊子の作成や、養成講座の開催等、立ち上げに向けての具体的な方策もお願いしました。この活動が、全国手をつなぐ育成会の一大プロジェクトとなる日も、そう遠くはないと思います。当会としては来年度の立ち上げに向けて研修会等を開催し準備を進めたいと思います。親あるうちに1人でも多くの理解者を得るため共に頑張りましょう!ご協力のほどよろしくお願いいたします。なお、当日の報告については4ページから6ページに掲載しておりますので、ぜひお読み下さい。

 年が明けて、大きな行事が続くのですが、この研修会の前の1月27日(土)に松端会長が束ねる神戸市知的障害者施設連盟と共催の「ふれあいステージ」を行いました。19回目を迎える今回は、KSCアロハハワイアンズと神戸龍谷中学校・高等学校吹奏楽部の皆さんにお越しいただきました。

 吹奏楽部の演奏で、中島みゆきさんの大ヒット曲「糸」を聞きましたが、演奏の前に司会をされていた学生が、「糸」の歌詞を朗読し、「この曲は、人と人とのめぐり逢いの歌です」との紹介がありました。
この曲は1992年に発表されましたが、その後、様々なアーティストがカバーし、またCMにも起用され、25年経た今でも、カラオケや結婚式でよく歌われているロングセラーですが、しかし皆さんご存知でしょうか?この大ヒット曲「糸」は1998年に放映された知的障害者への虐待を描いたドラマ「聖者の行進」の主題歌でもあったのです。

 このドラマは、実際に起こった「水戸アカス事件」を基に野島伸二氏が脚本を手がけましたが、暴力・性的虐待の場面がすさまじく、視聴者からは苦情が殺到し、スポンサーが降板する事態にもなったそうです。けれども平均視聴率は20%を超えていたそうですので、社会的にも注目されていたドラマであったことには間違いないと思います。
当初、私もこのドラマを見ていたのですが、余りにも惨たらしい暴力シーンの連続に、恐怖、悲しみ、怒りと様々な感情が押し寄せ、それらの場面が当時17歳の障害のある息子の姿と重なってしまい、見ることは出来ませんでした。
「水戸アカス事件」とは、1995年、茨城県水戸市にある段ボール加工会社の「アカス紙器」で実際に起こった出来事です。

 この会社では、積極的に知的障害者が雇用され、社長は地元では名士として尊敬されていました。しかし、障害者雇用による国からの助成金を受け取りながら賃金を支払わず、詐欺容疑で逮捕されました。そして捜査過程において、長年にわたり、従業員である知的障害者を虐待していたことが発覚したのです。
当時の記事を読むと、角材やバットで全身を殴ったり、角材をはさんだ膝の上に漬物石を置いて長時間座らせるなど、まるで拷問の様な行為が繰り返されていました。食事は満足に与えられず、そして、女性には頻繁に強姦が行われていたそうで、彼らは長きにわたり地獄の様な苦しみを味わっていたのです。
この件に関する捜査は開始されましたが、被害を受けた日時や状況を正確に証言出来る被害者(障害者)は少なく、腹立たしいことに、詐欺以外のほとんどの事件は立証されずに不起訴となってしまったのです。
「あなたは、本当に、障害者を同じ人間として接することができますか」という差別的にも聞こえる「問い」を投げかけた脚本の野島氏ではありますが、彼は、純粋な心を持つ知的障害者を題名の「聖者」になぞらえて、「聖者の行進」というタイトルをつけたそうです。
 そして番組の主題歌として、恋人同士の出会いが謳われていると感じられる「糸」を起用したのは何故なのでしょうか?
「糸」編に「半」と書けば、「絆」になります。「縁」も糸編です。「糸」とは、つながりを現す文字であり、野島氏は人と人との「つながり」の大切さを訴えたかったのかもしれません。(実際は、聞いてみないとわかりませんが・・)
人と人とのつながりが薄れている現代ですが、人々は、やはり、そういったつながりを求め、25年経た今でもこの曲を歌い続けているのではないかと思います。これからカラオケで「糸」を歌う時、悲しい事件があったこと、そして、つながることの大切さを思い出して下さい。   
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第358号~新年早々ですが・・・非常に「重い」テーマを考えてみたいと思います。~
2018 / 01 / 22 ( Mon )

              
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
さて平成30年を迎えた初めての「ひとりごと」ですが、まずは今年度中、1月から3月までの3か月間に行う3つの研修会のお知らせから聞いて下さい。
まず一つ目は、度々ご紹介させていただいています1月30日(火)に行う「疑似体験・キャラバン隊活動」の研修会が、いよいよ近づいてまいりました。
この活動は、言わば「車椅子・アイマスク体験」の知的障害者バージョンで、実際に参加者に障害特性を体験していただくことにより、知的障害についての理解を深めるためのものですが、加えて、本人の想いや気持ちも体感できるメニューもあり、親である私たちが疑似体験することにより、「こんな気持ちだったんだ」と気づかされ、そして反省させられる場面もあります。ちなみに当日は、神戸では老舗の大手メーカーの美味しいお弁当も用意しておりますので、お気軽にご参加いただけたらと思います。
「ちょっと行ってみようかな~」と思われる方は、是非とも事務局(515-5242)まで、お電話にてお申込み下さい。

二つ目は、重度高齢化対応のグループホームの運営をされている国立のぞみの園より講師をお招きし、2月15日(木)16日(金)の二日間にわたって研修会を行います。ご案内については、〇〇ページに掲載いたしておりますが、今回は、法人の理事長である遠藤浩氏にもお越しいただきます。厚労省にいらした遠藤氏ならではの、制度を絡めた有意義なお話が聞けるのではと思います。

最後のお知らせは、親なきあとの準備の一助となり得る「家族信託」についてです。これは遺言や成年後見制度が抱える課題に対して、有効に対処できる新たな取り組みとして現在注目されております。○○ページでも予告掲載しておりますが3月〇〇日に実施いたします。ご案内は、次号の本誌に掲載いたします。日程のチェックと共に大勢のご参加をどうかよろしくお願いいたします。


 さて、いよいよ本題に入りたいと思います。皆さんは、昨年10月から12月まで放送されていたドラマ「コウノドリ」をご覧になったことがありますか?
「コウノドリ」は、ハイリスクな出産に対応する周産期医療センターを舞台に、様々なリスクを抱えた妊婦と、それを支える医師たちの奮闘を描いた人気ドラマですが、最終回前に、2回にわたって「出生前診断」が取り上げられ、大きな反響を呼びました。
「出生前診断」とは、妊娠中に胎児に障害がないかを調べる血液検査や羊水検査のことで、対象となる3種類の疾患の中に、21番目の染色体異常である「ダウン症」が含まれております。

私たちが若い頃によく耳にした妊婦のお腹に針をさして行う「羊水検査」は、流産の危険性も伴っていたそうですが、3年前から導入されているという「新型出生前診断」と呼ばれる血液検査は、リスクもなく比較的容易に行えるため検査を受けた女性は実に2万人を超え、異常が確定した人のうちの96.5%にあたる334人が中絶を選んだそうです。まだ本格的な導入ではないそうですが、このまま安易にこの検査が広まっていくことには、不安を覚えます。

親であれば「知る権利」は当然あるかもしれませんが、それ以前に、宿った大切な命のために、「知る意味」をしっかり考えることが必要であると思います。
さて、ドラマでは、胎児がダウン症であると診断された二組の夫婦が登場しました。子どもが生まれる前に、生むか否かを親が決めてしまう、正に「命の選別」ともいうべき非常に重い問いかけに対し、一組は出産を、そして、もう一組は中絶という道を選びました。

この結果を受けて、主人公である産科医の「検査を受ける人、受けない人、生む人、生まない人、どの選択も間違っていない、間違っていなかったと思えるように、産科医として、家族と一緒に命と向き合っていくのが僕たちに出来る事、でも僕は赤ちゃんが好きだから・・」というような意味合いのセリフがあったのですが、このドラマは、「出生前診断」や「中絶」を安易に否定や肯定するのではなく、むしろ「視聴者一人ひとりが真剣に考えてみて下さい」という、そんなメッセージを発信しているかのように、私には受け取れました。

確かに、障害のある我が子を安心して託せる社会ではありません。子育ても大変かもしれません。また、障害者に対する差別や偏見も存在します。だから障害がある子は可哀そう、兄弟も大変、そういった様々な理由から、先天性の異常があると判明すると、多くの人が中絶を選ぶのかもしれません。けれども、我々の子供たちの存在価値を否定されているようで、非常に悲しく思います。
でも、悲しんでばかりはいられません。「親あるうちに」この状況を少しでも打破しなければなりません。障害者に対する差別や偏見を無くすためには、社会の人々に障害特性を知ってもらうことが第一です。それには、冒頭でも言いましたが、「キャラバン隊」等を通じて理解を求めることが大変重要です。

 そして、障害のある子を持つ親として声を大にして言いたいこと、それは、障害のある子どもがいても私たちは決して不幸ではありません。健常な子どもを育てていても味わえない喜びもあります。本人たちもそうです。障害ゆえの生きづらさはあっても、周囲の配慮があれば軽減することもできます。みんな精一杯生きているのです。それを伝える一環とも言える「第1回こうべ障がい者芸術フェスタ」が1月25日(木)から28日(日)まで神戸KIITOで行われます。詳細は本誌○○ページをご覧いただき、450点にも及ぶ本人たちの力強い作品(叫び)を是非聞いて下さい。    
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第357号 ~振り返ってみると・・・昨年と同様、今年もやりきれない気持ちです。~
2017 / 12 / 21 ( Thu )

  毎年、師走の声を聞くと「流行語年間大賞」が発表されますが、今年は「インスタ映え」と共に「忖度」が選ばれたそうです。
森友・加計学園問題で、今年の政界を揺るがす象徴となった「忖度」ですが、聞き慣れない言葉で、読めないし意味も分からないという方が大勢いたのではないかと思います。現に、海外メディアへの会見中に、
「忖度」の適切な訳し方に戸惑い、一時、通訳が止まってしまうというハプニングも発生したそうです。
初めて目にした「忖度」という言葉を調べてみると、「相手が何を求めているのか考える」
「他人の心を推し測る」というのが一般的なのですが、
「何も言われなくても相手のことを思って行動する」という意味も含まれているのです。

これを聞いて、皆さん、「障害者差別解消法」で謳われている「合理的配慮」の理念に相通じるように思いませんか?
「合理的配慮」とは、基本、配慮を求める意思の表明という大前提があってからの対応ですが、
一方で、例え意思の表明がなくとも、配慮が必要なことが明らかであれば、
障害のある人に適切だと思われる配慮を提案するということも含まれているのです。

正に、「合理的配慮」は、「忖度」の同義語や類義語と言っても過言ではないと思いますが、
悲しいかな、法律自体も、ましてや「合理的配慮」という言葉も、まだまだ一般的には浸透していないのが現状です。
現段階において「合理的配慮」は、社会の人々にとって「忖度」と同様に、
「何という意味なの?」の域から脱していませんが、障害のある人もない人も共に生きる「共生社会」の実現に向けて、
この理念を周知していくことが大切であると痛感しました。


 さて年末が近づき、今年を振り返ってみますと、昨年と同様に、本人が巻き込まれた腹立たしくて切なくて、
やるせない事件が相次いで起こりました。
まずは、4月に宇都宮市の知的障害者施設「ビ・ブライト」で、入所者の男性(28)が当時の職員2人に暴行され、
腰の骨を折るなどの重傷を負った事件がありました。
無抵抗で「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣き続ける被害者に対し、2人は何と30分間にもわたって殴る蹴るの暴行を
加えたのです。その光景を思い浮かべると涙があふれます。鬼畜としか言いようがありません。
暴行を加えた職員は、25歳の女性と22歳の男性で、女性の方は、この事件後の同年8月にも、
同じ社会福祉法人運営の他施設において、入所者の57歳の女性に、またしても暴行を加え、全
治20日のけがを負わせたそうで、反省の気持ちは微塵もなく、あきれるばかりです。
一方、男性の方は、施設の入所者でありながら職員を補助する形で働いていたそうで、詳細はわかりませんが、
同じ障害者でありながら、何ともやりきれない気持ちで一杯です。

 そして問題は、これだけに留まらず、施設長や県警OBの職員数名が、証拠隠滅の疑いで逮捕・書類送検されたそう、
組織ぐるみでの隠ぺいが疑われます。
12月1日に宇都宮地方裁判所で開かれた元職員に対する裁判で、検察は、女性には2年6か月、
男性には2年の懲役を求刑したそうです。まもなく判決が言い渡されると思いますが、
施設名の「ビ・ブライト」の意味である「輝く」にはほど遠い運営がなされ、腹立たしい限りです。

 そして、もう一つは、7月、埼玉県上尾市の障害者支援施設「コスモスアース」で、
男性利用者(19)が送迎用のワゴン車内に午前9時頃から約6時間放置され、熱中症で死亡した事件です。
この日、利用者の降車確認は運転手1人が行い、更には、食事時間等、1日に5回も出欠確認があったにも関わらず、
利用者の不在を問題視しない(気づかない)とは、なんというお粗末な運営なのでしょうか。
おまけに、正にこの事故の発生当日、厳密には午後1時半頃に、
同法人の理事長(75)が施設内で女性職員にわいせつな行為をしたそうです。
この事が発覚したのは、熱中症による死亡事故の捜査中に被害女性職員からの訴えがあったからです。
この理事長は、埼玉県の健康福祉部長や大学講師を歴任し、今年4月には叙勲まで受け、
そして事故当時は施設の管理者という立場であったと聞いております。
この事件と死亡事故との関連はないかもしれませんが、何とも嘆かわしい限りです。

 炎天下の灼熱地獄の中で、助けも求められず、苦しみながら、19年という短い生涯を終えた男性のことを思うと
胸がしめつけられます。ちなみに埼玉県議会では、同施設のNPO法人の指定取り消しを決めたそうです。
暗い話が続きましたが、当会のこの1年を振り返りますと、結成60周年の記念式典を実施しました。
そして、悲願であった重度・高齢化対応の住まいの場であるグループホームをしあわせの村内に建設する運びとなりました。
事前に行われた説明会には160名を超す大勢の参加があり、そして84名もの方の応募がありました。
今後、面接や体験等で入所者が決定しますが運営に関しては、社会保障費抑制の中で、平成30年度の報酬改定において、
果たしてどれだけの加算や人員配置があるのか。

 また、社会的な問題となっている人材不足は?と、厳しい状況が予想されます。
それぞれの立場での役割分担があると思いますが、「親あるうちに」親ならではの力を発揮し、来年も進んでいきたいと思います。引き続き、ご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします。        (会長  後藤 久美子)
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第356号~生涯スポーツ・学習・活動の意義、and・・・素敵な名前です!~
2017 / 12 / 02 ( Sat )
 皆さんは、メリケンパークに設置されている「BE KOBE」のモニュメントをご存じですか?神奈川県茅ケ崎海岸のサザンオールスターズのモニュメントさながらに、おしゃれで、神戸の新たな観光スポットになるのではと多いに期待していたのですが、
昨今、インスタグラムに投稿するため、モニュメントに登って撮影という危険な行動に及んでいる観光客(市民かもしれませんが)が続出しているとか・・。
全くこんな形で全国ネットで放映されるとは、神戸市民として少々複雑な心境ですが、インスタ映えするからと線路に入って写真撮影したり、評判のスイーツを食するより、まずはスマホで撮影と、この異様なまでの過熱ぶりは、いったいいつまで続くのでしょうか。


 さて、10月28日(土)~30日(月)に愛媛県で開催された全国障害者スポーツ大会に行ってきました。
この大会は国民体育大会終了後に、毎年、その開催地で行われますが、前日の抜けるような青空とは一転し、2週続きの週末台風の影響で、本降りの雨の中での開会式となりました。
北海道から沖縄まで、グラウンドを行進する選手・役員はもちろん、スタンドで観戦する我々も、また、愛媛を題材にしたパフォーマンス披露の地元の方々にとっても、非情な雨となりました。

その後も雨は降り続き、屋外では中止になってしまった競技や、残酷にも、雨が勝敗を分けたケースもあったりと、年に1度の晴れ舞台で力を発揮できずに、悔しい想いの選手も少なくなかったと思いますが、そんな中、我が神戸の選手団は、獲得メダル総数26個で、内、金14個(政令市3位)銀10個、銅2個と素晴らしい成績を収めてくれました。
ちなみに、当会の会員子女である松田健一郎君は、50メートル自由形に出場し、見事、銀メダルを射止めたそうです。(おめでとうございます。拍手!)

 全国障害者スポーツ大会には、会長就任以来、視察団として、これまで東京、長崎、和歌山、岩手と参加させていただきました。車椅子バスケを東京大会で観戦した時は、限界に挑戦する姿を目の当たりにし、その迫力に圧倒されました。競技場が離れていて、2時間の車移動は当たり前の大会もありました。寒い中、声をからして応援した大会もありました。でも、どの場面でも共通して言えるのは、一途に取り組む選手たちの姿があり、応援する私たちに対し、言葉では言い表せない感動を与えてくれたことです。
障害者の頑張りに「感動と勇気をもらった」というと、一方で、必ずと言っていいほど「障害者を美化し過ぎだ」との反論の声も聞こえてくるのですが、何かに打ち込む姿は、障害の有無に関係なく光り輝いていると思います。「障害者を美化し過ぎだ」という事自体が、私には差別の様に感じます。
2020東京オリ・パラに向けて、今、障害者スポーツが注目されています。
日本体育大学は今春、付属高等支援学校を網走に開校しました。開校の目的の一つは、勿論、パラリンピックに出場するアスリートの養成です。
 
また、開催地の東京では、ボッチャなどのパラリンピック種目を授業に取り入れたり、神奈川県では一流アスリートを招いた教室を開き、全国大会を狙える選手の養成を目指しているそうです。アスリートの養成だけでなく、パラリンピックを機に、障害者スポーツの裾野が広がることに期待したいと思います。
 
 そして、スポーツだけではありません。「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の芸術・文化を推進する全国ネットワーク(会長:久保厚子全国手をつなぐ育成会会長)」が、障害者団体等の27団体により組織され、国レベルでの障害者の文化・芸術活動の推進が行われております。
書家の金澤翔子さんを筆頭に、様々な分野で、全国レベルで名を馳せる方も現れてきましたが、そんな一握りの、秀でた能力を持った本人たちだけが光り輝いているのではありません。

 全国手をつなぐ育成会の機関紙「手をつなぐ」の今月号は「卒業してからも学びたい」と題し、フラワーアレンジメントや、絵画教室、和太鼓に生け花、歌に楽器演奏等、活き活きと活動する本人たちの姿が掲載されています。
みんな、とても「いい顔」で、一人ひとりが間違いなく光彩を放っています。
本年4月、松野博一文科省大臣(当時)が、「特別支援教育の生涯学習に向けて」と銘打ったメッセージを発表し、障害者の生涯にわたる学習活動の充実を目指すこと等を掲げています。ともすれば、事業所と家庭の往復だけになりがちな本人たちに、打ち込める「何か」があれば、自らの人生をもっともっと謳歌し、一人ひとりが、その人なりに光り輝けるのではないでしょうか。
とは言え、健常者と比べると充分な資源は確保されていない現実がありますが、パラリンピックを通して障害者への機運が高まっている現在、本腰を入れて取り組んで行かなければならない重要課題であると思います。
二つ目のお話です。「疑似体験活動・キャラバン隊」のご案内を9ページに掲載しております。まずは、ゲーム感覚で楽しんでみて下さい。大勢のご参加をよろしくおねがいします。

 そして、最後に・・・。4ページに記載の通り、重度高齢化対応のグループホームの名称が決まりました。総称「えみのき(咲の樹)」です。新緑福祉会の職員さん達の想いが結集した素晴らしい名前となりました。笑顔が咲き温かい場所となることを心より願います。 
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第355号 ~伝えれば必ず伝わる!伝える(知らない人に知ってってもらう)必要性~
2017 / 10 / 30 ( Mon )

  昨今、出先でお会いする様々な方々から「『会長のひとりごと』読んでますよ」と云うお言葉を挨拶がわりにお聞きしたり、更には、「毎月、楽しみにしてますよ」という最上級の褒め言葉まで頂戴し、感謝の念でいっぱいです。とは言え、毎月の執筆ゆえに、常に、締切りに迫られている感はぬぐえませんが、皆様の温かいお言葉は、原稿を書く上での大きな励みとなっております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 さて今回は、先月号でお約束した札幌市で開催された全国手をつなぐ育成会連合会全国大会の特別分科会で行われた「知的障害 疑似体験活動」についてお話しさせていただきます。

この活動については、再三にわたり紹介させていただいておりますが、車いす体験やアイマスク体験のごとく、参加者に実際に体験していただくことにより、知的障害の特性を理解していただくためのものです。
特別分科会の内容については、その他の分科会報告と共に〇ページから記載しておりますので、そちらでご覧いただきたいと思いますが、ここではキャラバン隊の活動の中身について、お話しさせていただきます。

 依頼先から与えられた時間により内容は異なりますが、主に柱となっているのは、①障害特性の説明、②寸劇、③疑似体験、④ワークショップ、⑤体験談・親の気持ち等で、それぞれのキャラバン隊の創意工夫により様々なメニューが実践されております。そして、どのメニューについても大変分かり易く精査されており、新たなプログラムもどんどん開発されているそうです。
最初から順に紹介しますと、まず、①については、パワーポイントや紙芝居を使っての障害特性の説明ですが、従前との違いは、困難を抱えている部分や生きづらさ等を具体的な例をあげて分かり易く説明がなされているところです。
例えば、障害特性の一つでもある「感覚過敏」については「視覚:まぶしさ、蛍光灯のちらつき」「聴覚:音や声、赤ちゃんの泣き声」「触覚:急に触られる、洋服のタグ」「嗅覚:柔軟剤、化粧品の匂い」等があり、これらは多かれ少なかれ私たちにも思い当たる節はありますが、知的障害の場合、これらに対し過敏に反応する場合があることを伝えます。

②寸劇は知的障害が抱える様々な特性を寸劇(ロールプレイ)で実演します。
例えば、たくさんのことを一度に言われると理解できないこと、内容を理解せずオウム返しで言葉を発してしまうこと、絵や写真やジェスチャー活用による言葉かけの有効性、また、言葉がわからない、伝わらないことのもどかしさ等を寸劇を通して伝えます。シチュエーションも学校バージョンや役所バージョン等、豊富なメニューが揃っています。

③疑似体験は知的障害の特性を参加者に実際に体験していただくもので、正に、この活動のメーンであり、多くのキャラバン隊が取り組んでいます。
ゲーム感覚で参加できるその方法は誌面の都合もあり、また当日のお楽しみということで敢えてここでは語りませんが、伝えるべきメッセージは、作業に時間がかかる特性がある、その際、周囲の声掛けや関わり方によって、本人が傷ついたり反対に自信を持てたりする、抽象的な概念は苦手、見たいものしか見えていない(周りは見えていない)等々、その他、様々な障害特性を実際に参加者に体験していただくことによって、障害理解を深めます。

④ワークショップは、問題を提議し、どのようにすれば良いかをグループで話し合ってもらうことにより、気づきや思いやりの心を促すことにつなげます。

⑤体験談・親の気持ちは、障害特性や関わり方のコツを知ってもらうと共に、子供たちは不安の中でも一生懸命頑張っていることを伝えます。また、スライドに子どもたちの写真や動画を写し、障害のある人の気持ちも伝えます。
全国で36の育成会が、以上の様な活動を実践しています。訪問先は教育現場(小学校から大学まで)や、医療現場、警察・消防署、自治会、商店会、幼稚園、福祉施設、行政等、多岐に及び、公演後に寄せられたたくさんの感想からは、何かが変わってきている・・・そう、着実な一歩が感じ取れました。

「障害者差別解消法」が施行されても、知的障害関係者からは、その成果が一向に聞こえてきません。法律が整備されても、周囲の人々の「想い」が変わらなければ法律は機能しないのです。そして「想い」を持った人を増やすこと、それをやっていくのは、当事者である私たち・親しかいないのです。

 先月、内閣府が行った全国18歳以上の男女3000人を対象とした「障害者に関する世論調査」によりますと、障害者への差別や偏見があると答えた人は、実に80%以上にも上ったそうです。その数字を見て驚愕しましたが、それは、何と言っても障害特性に対する無理解が起因していると思われます。「知的障害のことを理解してくれない」と愚痴っているだけでは、社会の人々に何も伝わらないし何も変わりません。一つずつ種をまいて育てていく努力が必要です。

「障害者差別解消法」では、障害への理解・啓発事業を自治体の必須事業と位置付けております。行政の方も巻き込んだ「神戸のキャラバン隊」を立ち上げ、親あるうちに、一人でも多くの理解者を増やしていきましょう。
すぐには変わりません。しかし「伝えれば必ず伝わります」

年が明けた1月30日(火)は、育成会会館でキャラバン隊の実演を是非ご覧ください。                
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