第356号~生涯スポーツ・学習・活動の意義、and・・・素敵な名前です!~
2017 / 12 / 02 ( Sat )
 皆さんは、メリケンパークに設置されている「BE KOBE」のモニュメントをご存じですか?神奈川県茅ケ崎海岸のサザンオールスターズのモニュメントさながらに、おしゃれで、神戸の新たな観光スポットになるのではと多いに期待していたのですが、
昨今、インスタグラムに投稿するため、モニュメントに登って撮影という危険な行動に及んでいる観光客(市民かもしれませんが)が続出しているとか・・。
全くこんな形で全国ネットで放映されるとは、神戸市民として少々複雑な心境ですが、インスタ映えするからと線路に入って写真撮影したり、評判のスイーツを食するより、まずはスマホで撮影と、この異様なまでの過熱ぶりは、いったいいつまで続くのでしょうか。


 さて、10月28日(土)~30日(月)に愛媛県で開催された全国障害者スポーツ大会に行ってきました。
この大会は国民体育大会終了後に、毎年、その開催地で行われますが、前日の抜けるような青空とは一転し、2週続きの週末台風の影響で、本降りの雨の中での開会式となりました。
北海道から沖縄まで、グラウンドを行進する選手・役員はもちろん、スタンドで観戦する我々も、また、愛媛を題材にしたパフォーマンス披露の地元の方々にとっても、非情な雨となりました。

その後も雨は降り続き、屋外では中止になってしまった競技や、残酷にも、雨が勝敗を分けたケースもあったりと、年に1度の晴れ舞台で力を発揮できずに、悔しい想いの選手も少なくなかったと思いますが、そんな中、我が神戸の選手団は、獲得メダル総数26個で、内、金14個(政令市3位)銀10個、銅2個と素晴らしい成績を収めてくれました。
ちなみに、当会の会員子女である松田健一郎君は、50メートル自由形に出場し、見事、銀メダルを射止めたそうです。(おめでとうございます。拍手!)

 全国障害者スポーツ大会には、会長就任以来、視察団として、これまで東京、長崎、和歌山、岩手と参加させていただきました。車椅子バスケを東京大会で観戦した時は、限界に挑戦する姿を目の当たりにし、その迫力に圧倒されました。競技場が離れていて、2時間の車移動は当たり前の大会もありました。寒い中、声をからして応援した大会もありました。でも、どの場面でも共通して言えるのは、一途に取り組む選手たちの姿があり、応援する私たちに対し、言葉では言い表せない感動を与えてくれたことです。
障害者の頑張りに「感動と勇気をもらった」というと、一方で、必ずと言っていいほど「障害者を美化し過ぎだ」との反論の声も聞こえてくるのですが、何かに打ち込む姿は、障害の有無に関係なく光り輝いていると思います。「障害者を美化し過ぎだ」という事自体が、私には差別の様に感じます。
2020東京オリ・パラに向けて、今、障害者スポーツが注目されています。
日本体育大学は今春、付属高等支援学校を網走に開校しました。開校の目的の一つは、勿論、パラリンピックに出場するアスリートの養成です。
 
また、開催地の東京では、ボッチャなどのパラリンピック種目を授業に取り入れたり、神奈川県では一流アスリートを招いた教室を開き、全国大会を狙える選手の養成を目指しているそうです。アスリートの養成だけでなく、パラリンピックを機に、障害者スポーツの裾野が広がることに期待したいと思います。
 
 そして、スポーツだけではありません。「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の芸術・文化を推進する全国ネットワーク(会長:久保厚子全国手をつなぐ育成会会長)」が、障害者団体等の27団体により組織され、国レベルでの障害者の文化・芸術活動の推進が行われております。
書家の金澤翔子さんを筆頭に、様々な分野で、全国レベルで名を馳せる方も現れてきましたが、そんな一握りの、秀でた能力を持った本人たちだけが光り輝いているのではありません。

 全国手をつなぐ育成会の機関紙「手をつなぐ」の今月号は「卒業してからも学びたい」と題し、フラワーアレンジメントや、絵画教室、和太鼓に生け花、歌に楽器演奏等、活き活きと活動する本人たちの姿が掲載されています。
みんな、とても「いい顔」で、一人ひとりが間違いなく光彩を放っています。
本年4月、松野博一文科省大臣(当時)が、「特別支援教育の生涯学習に向けて」と銘打ったメッセージを発表し、障害者の生涯にわたる学習活動の充実を目指すこと等を掲げています。ともすれば、事業所と家庭の往復だけになりがちな本人たちに、打ち込める「何か」があれば、自らの人生をもっともっと謳歌し、一人ひとりが、その人なりに光り輝けるのではないでしょうか。
とは言え、健常者と比べると充分な資源は確保されていない現実がありますが、パラリンピックを通して障害者への機運が高まっている現在、本腰を入れて取り組んで行かなければならない重要課題であると思います。
二つ目のお話です。「疑似体験活動・キャラバン隊」のご案内を9ページに掲載しております。まずは、ゲーム感覚で楽しんでみて下さい。大勢のご参加をよろしくおねがいします。

 そして、最後に・・・。4ページに記載の通り、重度高齢化対応のグループホームの名称が決まりました。総称「えみのき(咲の樹)」です。新緑福祉会の職員さん達の想いが結集した素晴らしい名前となりました。笑顔が咲き温かい場所となることを心より願います。 
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第355号 ~伝えれば必ず伝わる!伝える(知らない人に知ってってもらう)必要性~
2017 / 10 / 30 ( Mon )

  昨今、出先でお会いする様々な方々から「『会長のひとりごと』読んでますよ」と云うお言葉を挨拶がわりにお聞きしたり、更には、「毎月、楽しみにしてますよ」という最上級の褒め言葉まで頂戴し、感謝の念でいっぱいです。とは言え、毎月の執筆ゆえに、常に、締切りに迫られている感はぬぐえませんが、皆様の温かいお言葉は、原稿を書く上での大きな励みとなっております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 さて今回は、先月号でお約束した札幌市で開催された全国手をつなぐ育成会連合会全国大会の特別分科会で行われた「知的障害 疑似体験活動」についてお話しさせていただきます。

この活動については、再三にわたり紹介させていただいておりますが、車いす体験やアイマスク体験のごとく、参加者に実際に体験していただくことにより、知的障害の特性を理解していただくためのものです。
特別分科会の内容については、その他の分科会報告と共に〇ページから記載しておりますので、そちらでご覧いただきたいと思いますが、ここではキャラバン隊の活動の中身について、お話しさせていただきます。

 依頼先から与えられた時間により内容は異なりますが、主に柱となっているのは、①障害特性の説明、②寸劇、③疑似体験、④ワークショップ、⑤体験談・親の気持ち等で、それぞれのキャラバン隊の創意工夫により様々なメニューが実践されております。そして、どのメニューについても大変分かり易く精査されており、新たなプログラムもどんどん開発されているそうです。
最初から順に紹介しますと、まず、①については、パワーポイントや紙芝居を使っての障害特性の説明ですが、従前との違いは、困難を抱えている部分や生きづらさ等を具体的な例をあげて分かり易く説明がなされているところです。
例えば、障害特性の一つでもある「感覚過敏」については「視覚:まぶしさ、蛍光灯のちらつき」「聴覚:音や声、赤ちゃんの泣き声」「触覚:急に触られる、洋服のタグ」「嗅覚:柔軟剤、化粧品の匂い」等があり、これらは多かれ少なかれ私たちにも思い当たる節はありますが、知的障害の場合、これらに対し過敏に反応する場合があることを伝えます。

②寸劇は知的障害が抱える様々な特性を寸劇(ロールプレイ)で実演します。
例えば、たくさんのことを一度に言われると理解できないこと、内容を理解せずオウム返しで言葉を発してしまうこと、絵や写真やジェスチャー活用による言葉かけの有効性、また、言葉がわからない、伝わらないことのもどかしさ等を寸劇を通して伝えます。シチュエーションも学校バージョンや役所バージョン等、豊富なメニューが揃っています。

③疑似体験は知的障害の特性を参加者に実際に体験していただくもので、正に、この活動のメーンであり、多くのキャラバン隊が取り組んでいます。
ゲーム感覚で参加できるその方法は誌面の都合もあり、また当日のお楽しみということで敢えてここでは語りませんが、伝えるべきメッセージは、作業に時間がかかる特性がある、その際、周囲の声掛けや関わり方によって、本人が傷ついたり反対に自信を持てたりする、抽象的な概念は苦手、見たいものしか見えていない(周りは見えていない)等々、その他、様々な障害特性を実際に参加者に体験していただくことによって、障害理解を深めます。

④ワークショップは、問題を提議し、どのようにすれば良いかをグループで話し合ってもらうことにより、気づきや思いやりの心を促すことにつなげます。

⑤体験談・親の気持ちは、障害特性や関わり方のコツを知ってもらうと共に、子供たちは不安の中でも一生懸命頑張っていることを伝えます。また、スライドに子どもたちの写真や動画を写し、障害のある人の気持ちも伝えます。
全国で36の育成会が、以上の様な活動を実践しています。訪問先は教育現場(小学校から大学まで)や、医療現場、警察・消防署、自治会、商店会、幼稚園、福祉施設、行政等、多岐に及び、公演後に寄せられたたくさんの感想からは、何かが変わってきている・・・そう、着実な一歩が感じ取れました。

「障害者差別解消法」が施行されても、知的障害関係者からは、その成果が一向に聞こえてきません。法律が整備されても、周囲の人々の「想い」が変わらなければ法律は機能しないのです。そして「想い」を持った人を増やすこと、それをやっていくのは、当事者である私たち・親しかいないのです。

 先月、内閣府が行った全国18歳以上の男女3000人を対象とした「障害者に関する世論調査」によりますと、障害者への差別や偏見があると答えた人は、実に80%以上にも上ったそうです。その数字を見て驚愕しましたが、それは、何と言っても障害特性に対する無理解が起因していると思われます。「知的障害のことを理解してくれない」と愚痴っているだけでは、社会の人々に何も伝わらないし何も変わりません。一つずつ種をまいて育てていく努力が必要です。

「障害者差別解消法」では、障害への理解・啓発事業を自治体の必須事業と位置付けております。行政の方も巻き込んだ「神戸のキャラバン隊」を立ち上げ、親あるうちに、一人でも多くの理解者を増やしていきましょう。
すぐには変わりません。しかし「伝えれば必ず伝わります」

年が明けた1月30日(火)は、育成会会館でキャラバン隊の実演を是非ご覧ください。                
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第354号~疑似体験活動、勉強してきます。 そして、お待たせしました!~
2017 / 10 / 04 ( Wed )
              
当会の7月末に行われた60周年記念事業に引き続き、8月末には、㈱いくせいの30周年記念式典が実施されました(詳細については、8ページに掲載)。
当日は、久元市長をはじめとする多くのご来賓に加え、福祉就労社員や支援社員に保護者等、総勢400数十名が一堂に会しました。若くて元気で、これからの(株)いくせいを背負っていく本人たちとは別に、30年の歳月を経て、高齢化が忍び寄っている本人の存在も痛切に感じました。華やかな舞台とは裏腹な現実を垣間見たような気がしますが、「親なきあと」に向けた対策が急がれることを改めて痛感いたしました。

さて、その対策の一つにもなるかと思いますが、9月23日(土)~24日(日)、「キャラバン隊・全国サミット」と称する、「知的障害疑似体験」活動が札幌市で行われる全国大会(全国手をつなぐ連合会主催)の特別分科会で実施されます。詳細については来月号の本誌で報告させていただきますが、これは、このコーナーでも度々紹介している知的障害についての理解を深めるための啓発活動で、今、全国の育成会で注目されております。

当会でも、従前から「知的障害とは○○」という様なスライドを作成し、啓発活動は行っておりましたが、座学による、言ってみれば、こちらからの一方的な語りかけとなり、果たして、どれだけ聞き手に伝わっていたのかは疑問でした。
しかしこの活動では、参加者にはワークショップ等により知的障害の特性や、また、その時の本人の気持ちも体験していただき、楽しく分かり易く、まるでゲーム感覚で、知的障害についての理解を深めるためのものです。
「障害者差別解消法」が施行され、「不当な差別的取扱い」の禁止と、「合理的配慮」の提供が求められております。しかし、立派な法律が施行され、上記のように訴えても、肝心の「障害特性」を社会の人々に理解していただかなければ、差別も無くならないし、合理的配慮も望めません。
 昨今、多くの自治体では、「障害を理由とする差別に関する相談窓口」が設置され、相談事例や合理的配慮事例が報告されていますが、そのほとんどが身体障害者に関する事例で、知的障害に関するものは中々聞こえてきません。
せっかくの法律も知的障害者の場合、現段階では、あまり機能しておらず、「絵に描いた餅」に終わってしまっていると思えてなりません。

 この法律を機能させるためには、まずは周りの方々に知的障害の特性を理解していただくことが先決で、地盤をしっかり固めてこそ、活きた法律となるのです。それを如実に物語る、ある差別事例を聞いて下さい。


 数年前、比較的軽度な成年が、通勤電車の帰りに経験した出来事です。
電車の中で、ぐずって泣き出した赤ちゃんがいました。小学生の頃、「赤ちゃんを買って下さい」と母親におねだりをするほど日頃から赤ちゃんが大好きな彼が、「ヨシヨシ」とあやすつもりで赤ちゃんに触れたのですが、赤ちゃんは、よけいに泣いてしまいました。
 びっくりした彼は、赤ちゃんの手を少し引っ張ってしまい、更に赤ちゃんを泣かせる結果になってしまいました。
 赤ちゃんと一緒にいたお父さんに怒鳴られ、怖くなった彼は、どうしていいか分からず、その場から走って逃げ去ります。お父さんは電車の中、彼を追いかけて捕まえ、最寄駅で引きづりおろし、彼は駅長室に連れて行きました。
 その後、近くの派出所で保護された彼を、連絡をもらった母親が、不安な面持ちで迎えに行きました。

 彼に接した派出所のお巡りさんは、幸運にも、大変理解のある方で、「彼と話してわかったが、彼は決して悪気はなく、単に赤ちゃんが好きだったから。」と到着した母親に話して下さり、母親は随分と救われたそうです。
ただ、彼が迷惑をかけてしまったことは事実ですので、帰宅後、赤ちゃんのお宅にお詫びの電話をしましたが、赤ちゃんの母親は、「なぜ、知的障害者を一人で外出させるのですか。知的障害者って何をするか分からないでしょう。付き添ったらどうですか。何かあってからでは遅いんだすよ。」と、きつく言い放ったそうです。

「知的障害=何をするか分からない」明らかに「障害者差別解消法」がうたう「障害を理由とする差別」にも感じられます。しかし、このことを相談窓口に伝えて、手の施しようもありません。知的障害について、周りの方々に理解していただくしかないのです。
この事例では、彼が比較的軽度の障害で、自分の想いを言葉で伝えることが可能であったため、お巡りさんの理解を得ることができました。けれども、本人が十分に会話出来なかったり、仮にパニックを起こした場合は、理解を得ることは非常に困難で、本人も母親も大変つらい想いをしたことと思います。

 知的障害者は外見上から障害特性が分かりづらいため、必要な配慮も得られにくく、また、突拍子もない行動をするため、差別・偏見につながる事も多々あります。そんな時、周囲に理解者がいれば、きっと、もっともっと生きやすい社会になると思います。この活動は正に「共生社会」をつくるための第一歩なのです。


「親あるうちに」ひとりでも多くの理解者を得るため、これからの育成会の「命題」として、この活動に取り組みたいと思いますので、早速、年が明けた1月30日(火)には、育成会会館にキャラバン隊として活動する育成会をお呼びし、実際の活動を見ていただきます。近日中に本誌でご案内いたしますので、大勢の参加をよろしくお願いいたします。


最後に・・・・・皆さん、お待たせいたしました! しあわせ村内に建設する「重度・高齢化対応」のグループホームの入居者募集要項を4ページに掲載しております。よくお読みの上、興味のある方は、ぜひ説明会にお越しください。          
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第353号~60周年記念大会 無事終わりました~
2017 / 09 / 04 ( Mon )
 毎日、暑い日が続きうんざりしますが、今夏の神戸の街は、違った意味で「熱く」なっています。開港150年を迎えて、各地では、様々なイベントが行われております。中でも、圧巻は、何といっても花火大会で、今年は150年を記念し、1万5千発もの花火が打ち上げられるそうです。当日は、例年以上に大勢の観光客が神戸に集結することと思いますが(本稿執筆は8月初旬)、こういった数々の取り組みを通して、神戸内外の人々に「神戸の魅力」を再認識していただき、活気ある街づくりの一助になればと願います。

さて、150年にはまだまだ及びませんが、当会は今年度、結成60周年を迎え、去る
7月25日(火)に育成会会館において、「結成60周年記念大会」を執り行いました。

当日は、早朝よりたくさんの会員さんはもちろんですが、大勢のご来賓の皆様にもお越しいただきました。特に、ご公務の大変お忙しい中にもかかわらず、久元市長にご足労いただき、温かいお言葉を頂戴したことは私たち会員にとって大きな励みとなりました。
その久元市長の祝辞ですが、舞台上で行っていただく予定が、何と自ら舞台から降りられて、出席者と同じフロアーで祝辞を述べて下さいました。
決して「上からではなく」て、「みんなと同じ目線」でお話しいただいた市長のお人柄がうかがえた様な気がいたします。
また市長からは、光栄にも、当会の60年にわたる活動に対して、感謝状を贈呈していただきました。この感謝状は、会発展のために身を粉にしてご尽力された方はもちろんですが、会員として、会を支えてこられた全ての方々の努力の賜物であると思います。皆様にお礼申し上げたいと思います。

 そして、当日は、「全国手をつなぐ育成会連合会」の久保厚子会長も、ご多忙の中、お祝いに駆けつけて下さいました。
久保会長と言えば、昨年起こったあの悲惨な「やまゆり園事件」の際、早々に会としての声明文を発表し、そして、その翌日には、「自分たちも殺されるの?」と、不安を訴える本人に向けて「全力で守る」というメッセージを発信し、多くの方々の共感を得、その後、メディアに引っ張りだことなりました。
現在も、新しい制度やサービス創設に向け、国が設置している各種委員会のうち実に35もの委員会の委員を努め、東京には頻繁に出かけられ、それ以外にも、各育成会からの要請で全国を回る等、超多忙な日々を送られております。
そんな久保会長からは、「神戸の育成会は全国の育成会の中でも、常にトップを走っていて、他の多くの育成会はそれに続いている状況である。他の育成会を引っ張っているトップランナーの役割を果たしている」とのお褒めの言葉をいただきました。

これは、施設が足らない時代に新緑福祉会を立ち上げ、「玉津むつみの家」をはじめとする施設建設に取り組んだこと、雇用拡大に向けて㈱いくせいを設立したこと、そして、地域生活を支援するための育成会会館の建設等、ここには書ききれないほどの、先陣を切って走ってきた育成会の歴史に対する久保会長からの称賛の声だと思いますが、「これからも頑張って、その役割を果たして下さい」という励ましの言葉も含まれていたと思います。
今大会は、2年に一度開催の「神戸市手をつなぐ育成会大会」も併催のため、感謝状・表彰状の贈呈や、会員歴30年の会員表彰も行いました。30年前というと会員数が右肩上がりの時代だったせいか、60名の方がその対象となりました。(余談ですが、私も内1名でした)表彰状・感謝状贈呈のあとは、第2部として、全国手をつなぐ育成会連合会の田中正博統括より、「障害福祉の動向と今後の育成会活動の方向性について」と題した講演会が行われました。

この講演会の要旨や当日のスナップ写真、ご来賓名簿等については、本号に、記念大会当日に出席者に配布した冊子(当日はカラー刷りでしたが、今回は白黒印刷で)に添付して掲載しておりますので、是非ご覧ください。

 皆様ご承知の通り、当会では、今年度末に、悲願であった重度高齢化対応のグループホーム建設という大きな目的があるため、出資を抑える意味合いから、本大会を育成会会館で行いました。本当は、ご来賓の皆様をもっとお呼びしたかったし、せっかく市長にお越しいただくので、大きなホールで実施したいという気持ちもありましたが、会員の皆様には、市長の存在を間近で感じていただけたと思いますし、何よりこの会館は、「何かあった時に、いつでも預けられる場所を造ろう」との熱い想いで建設した場所ですので、ここで60周年を迎えられたことは意義深かったと思います。

先輩方の努力により、この60年間で障害者を取り巻く環境は大きく変わりました。法律・制度・サービスと、一見充実しているようにも思われますが、しかし親なきあとを考えた時、住まいの場もサービスも充分とは言えませんし、障害者に対する偏見・差別も
まだまだ根強く残っております。

60年という月日の流れの中で、育成会への想い・熱意も薄れてきているかもしれませんが、障害のある子に対する想いは、たとえ時代が変わろうと不変です。
「誰のため、何のため」の育成会活動であるのか今一度考え、「障害のある子供たちのため」共に頑張りましょう。 
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第352号~あれから1年・・・「共生社会」の構築に向けて~
2017 / 09 / 04 ( Mon )

  今年は空梅雨?と思いきや、ここに来て(本稿執筆の7月初旬)梅雨前線の活発な活動により記録的な大雨に見舞われている福岡・大分両県では、「大雨特別警報」が発令されました。東日本大震災での津波を思わせるような河川の氾濫に加え、土砂災害に、鉄橋陥落と、短時間で一変してしまった見るも無残な風景に、改めて自然が引き起こす猛威に恐怖すら感じました。早急な天気の回復は勿論ですが、これ以上大雨の範囲が拡がらないこと、そして最小限の被害に収まることを心から願うばかりです。

 さて、この機関紙が皆様のお手元に届く頃には、おそらく梅雨も明け、焼けつく様な日差しが降り注いでいるかと思いますが、あの日、そう、7月26日も、とても暑い1日で寝苦しい夜だったように思います。犯罪史上類を見ない、あの「津久井やまゆり園」での悲惨な事件から1年を迎えようとしています。 

先日、事件後初めて施設内部が公開されたり、また、7月24日(月)には追悼式が行われるとか・・。何もなかったかのように長きにわたって沈黙していたマスメディアも、最近「やまゆり園」関連の記事をよく取り上げるようになりました。当の「やまゆり園」では、施設再建について様々な意見が飛び交い、未だ結論が出ていない状況です。
事件発生当初は、家族会や施設を運営する「かながわ共同会」、そして現場の職員からの全面建替えの意向を受け、神奈川県は概算で60~80億円を費やし、同一敷地内での全面建替えを発表しました。ところが有識者や多くの障害者団体から、施設から地域へという障害福祉の理念に逆行している、本人の意向を重視すべき、多額の公費を負担するのだからもっと議論を等、批判が集中し、施設建替えは暗礁に乗り上げた状態になってしまいました。

神奈川県では建替え計画を検討するため、県障害者施策審議会に専門部会を設置し、議論を重ねた結果、大規模施設を造らないとする提言をまとめる方針でしたが、職員や家族から行ったヒアリングでは、従来のような大規模施設の再建を望む声が相次ぎ、園長からも同じ内容の訴えがありました。また、地域住民が出席して行われたヒアリングの際にも、同園で働いている地元の住民も多く、また以前より、園と地域とのつながりも深いため、早期に地元で再建して欲しいとの要望が出されました。

 一方で、横浜市の障害者施設の団体や近隣の社会福祉法人では、新設するグループホームでやまゆり園の入所者を受け入れようとする計画が進められ、複数の家族は関心を示しているそうです。この受け入れ計画は同園再建時の定員規模にも関わり、今後の専門部会の議論にも影響を与えるものと思われます。

相模原での事件は、犯罪史上稀にみる残忍さと共に、多くの犠牲者を出したということで、日本だけでなく海外においても大きく報道されました。
犯人は、職員体制が手薄な夜間の時間帯に園に押し入り、かつての同僚を縛りつけ、かつて寝食を共にした利用者の部屋に侵入し、そして一人ずつ名前を呼んでいき、応答のなかった重度障害者を次々に殺害していったと言われております。何という残酷な手口でしょう。亡くなった利用者、その光景を間近で見ていた利用者、彼らのその時の想い、恐怖を考えると涙があふれ、計り知れない悔しさがこみあげてきます。

国では、再発防止対策検討チームが立ち上げられ、全国手をつなぐ育成会からは田中統括が委員として出席しました。昨年秋に、中間取りまとめが発表されましたが、精神障害者の措置入院のあり方や、施設の防犯対策について等の不充分な取りまとめに終わり、田中統括いわく、肝心の職員が犯人であったことについてのやり取りは為されなかったそうです。
犯人は当初、熱意を持って同園で働き始め、「障害者はかわいい」と周囲に漏らしていたそうです。そんな犯人が、いったい何故、どこで豹変してしまったのか、その背景は何だったのか検証が必要です。「どの職員も、重度の知的障害者の支援に生気を失い疲れている。障害者は生きていても仕方がない。だから、自分が職員を救うために知的障害者を殺した」殺害動機を犯人は、こう語っていました。この供述を受け、重度者の多い支援施設の職員不足等、現場の状況やあり方についての充分な議論が何故行われなかったのでしょう。今後、本人の重度化・高齢化がますます進んでいきます。しかし障害のみならず、福祉分野においては職員不足が顕著で、現場の職員の負担も一層大きくなってくるものと思われます。第2第3のモンスターを生み出さないためにも、こういった議論を丁寧に行い、支援施設の職員体制等、改善していくことが急務であると思われます。

 そして、この事件は犯人が持っている上記の様な障害者に対する偏見や差別、いわゆる「優生思想」的な考えが浮き彫りになり、社会に大きな波紋を投げかけました。

 しかし、日本では、すでに胎児の出生前診断が普通に行われ、ダウン症等の可能性が事前に判明すると、何と90%以上の方が堕胎手術を受けていると言われております。そのせいか最近、幼児施設ではダウン症児を見かけなくなりました。
また更に驚くことに、両親の遺伝子診断で「将来の子」が予測できる方法があり、しかもそれは唾液を採取するだけで、1050種類もの病気にかかる可能性を4段階(100・50・25・0%)で表示し、大手の遺伝子検査会社が来年の開始を目指しているそうです。
障害者に対する犯人の偏った考えから起こった「やまゆり園」の事件は、多くの人に衝撃を与えましたが、では、この様な検査は問題ないのでしょうか。このまま進むと、これからの日本には障害者を含む弱者の居場所がなくなってしまいます。

しかし、病気で事故で加齢により誰しも弱者になるかもしれません。けれども誰しも一人ひとりが大切な存在なのです。この事実を受け止め、真剣に考えていかなければ、国が謳う「地域共生社会」は「絵に描いた餅」で終わってしまいます。
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